プルーフ・オブ・ヘヴン 脳神経外科医が見た死後の世界

スピリチュアリズム

「スピリチュアリズム」というと特定の思い込みやイメージを誘発してしまうがゆえに、この項目を作るかどうかしばらく悩んでいた。

私はラノベもよく読むのだが、こういった分野に関してもよく読む。

だがしかし、「イメージがよくないのでは」的なことを考えてそれを書いてこなかった。

が、今回この本を読むにあたって、読むのに時間がかかったため、このブログの更新が1週間程度止まってしまった。

そのくらい時間をかけて読んだものを自分の中にしまっておくのももったいない・・ということで、新たに「スピリチュアリズム」というカテゴリーを作ることにした。

昔の日本では「心霊主義」「心霊学」という訳語が当てられ、現在では「オカルト」に分類されていたりするが、それはなんとなくもとの「スピリチュアリズム」の位が下がったように感じるので、元の「スピリチュアリズム」の単語を使うことにする。

自分のイメージでは「オカルト」は「科学で説明できないこと全般」を指すのに対し、「スピリチュアリズム」はそれとは違い、もともとは「霊実在主義(アラン・カルデックの創始した単語で、霊は死後も実在を保つという考え)」という。もともとは「スピリティスム(Spiritisme 心霊学)」という単語であったが、これが英訳されて、「スピリチュアリズム」となった。

前置きが長くなったが、今回取り上げる「プルーフ・オブ・ヘブン」は2013年刊行の本で、「フジテレビ系「奇跡体験! アンビリバボー」で紹介!」されたので、そっちで知っている方も多いかもしれない。

著者のエベン・アレクザンダー医師は脳神経外科医で、長年死後の世界など信じてはいなかった。

その彼が、世にも稀な「大腸菌性髄膜炎」という病気にかかり、7日間も昏睡状態に陥ってしまう。

「大腸菌性髄膜炎」というのは「細菌性髄膜炎」の一種で、簡単にいうと「髄膜に大腸菌が感染した」という病気なのだが、大人で起こることはまれで、1000万に一人以下、の罹患率である。

また、昏睡状態に入ると「生還率は0%」だそうなので、いろいろな意味でエベン氏の体験は常軌を逸している。

彼は脳神経外科医であるから、自分が昏睡状態にあるときの脳のCTスキャン画像を見た結果、

「脳が全く機能していない」ことがわかったという。

(では「脳死」かというとそうではなかった。「脳死」していたら完全に生還はできなかった。7日後に意識を取り戻したあと、脳がしばらく機能停止していた影響で「ICU精神病」というものになり、完全な回復には2ヶ月かかったそうである。日に日に記憶を取り戻し、言動がしっかりしていくという有様だったようだ)

で、じゃあ「その7日間意識はなかったのか」というと、彼は臨死体験をしていた。

「あちらの世界」の体験を文章で綴るのは大変に困難な作業らしく、ようやくできた文章も、あちこち意味がわからないところがあった。実際自分もあまり意味がよくわからない部分があった。

彼は最初、闇の中におり、まるで「ミミズから見た世界のようだ」ということで、そこを「ミミズの目」と呼んだ。しばらくそこにいると、今度は上にいかなければいけない気がしてきたが、そうしたら天に穴があいてそこから光る球体がやってくるのが見え、彼も上昇していく。

彼は飛んでいた。蝶に乗った見知らぬ女性がおり、この女性がずっと付き添ってくれていた。

天上には荘厳な音楽が鳴り響いていたという。

(注:臨死体験の話には、この「天上の音楽」に触れたものが結構ある。あちらで感じる音楽は、我々の知っているどんな音楽よりも素晴らしく、また、「物質的である」ともいう。音がただの振動ではなく、形を伴っているものに感じられるようだ。別の人の話になるが、その「天上の音楽」は「ダッタン人の踊り」のメロディーが一番近いという。「ダッタン人の踊り」は、アレクサンドル・ボロディン作曲の有名な曲である)

そして、彼は意図的にそれが「なにか」を書かなかったが、「神、あるいは天使」のような存在、と会ったという。彼はそれが「天使」だと最初気づかなかったが、背後に光をまとっているのを見て「これが地上に伝わって天使となったのかもしれない」と言っている。

・・・自分で書いていてもどかしくなってきた。

実はYouTubeでこの番組を見たので、それで原作が読みたくなって買って読んだのだが、「テレビ録画物をYouTubeにアップロードするのは違法である」という明確な基準があるため、ここには置けない。

権利的なものをクリアした映像があったので、それを載せることにする。

【ハーバードの脳神経外科医が自身の臨死体験を語る】「プルーフ・オブ・へブン」を超えた対話DVD

DVDの発売元が運営している公式チャンネルのもので、5分ほどのダイジェスト映像なので大丈夫!

これで興味を抱かれた方は、読んでみるとよいと思う。

さて、死後の世界の描写は、当人が苦労している上にそれを自分が書こうとすると次第にわけがわからないものになるため、一部はしょって、彼は生還する。

それで終わりではなかった。

エベン氏は孤児だった。父母は養父母だったのである。彼は長年実の父母に会いたいと望んでいた。

それなのに、死後の世界を体験したときに、「誰とも会わなかった」というのが不満であり、「自分は誰にも愛されていないのではないか」という真剣な葛藤を生み出す。

ところが、その後、実の父母や実の親戚などへのアプローチがついにかなうと、例の「蝶に乗った女性」の正体が判明したのである。

彼がその時点で「見知らぬ」といったのも無理はなかったが、彼にとって近しい人だったのである。

・・と、こんな感じで「スピリチュアリズム編」の一回目を終わることにする。

「そんなものは嘘っぱちだ!」という人は読まないでもらいたいし、興味がある人だけ読んでくれればよいと思う。これもまたあくまで「感想」を書いているにすぎない。

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