ティアムーン帝国物語～断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー～（TOブックス）

・・・を、友人に勧められたので読んでみた。

革命によって20歳で断頭台にかけられて死んだはずのミーア姫は・・・、12歳として目が覚めた。

ここが同じ世界の8年前なのか、別の世界の8年前なのかもわからないが、とりあえず12歳として目覚める。そして、傍らには、死の直前まで書き連ね、最後には断頭台で自分の血に染まってどす黒くなった日記帳が・・・。

非常にご都合主義なことに、この日記帳を読めば「いつ何をしたか」がわかるので、当然その未来も回避できる！　ということで、ミーア姫は「己の保身のためにのみ」行動するわけだが、

「保身のため」とはいえ、「革命を阻止すること」と同じ意味合いになってしまうので、ミーア姫の行動は「なんと切れ者よ！」とあちこちで賞賛を浴びてしまうことになる。このへんがコミカルといえばコミカルだが、

例えば、「○月　貧民街から疫病が流行る」といった場合、「では貧民街を見に行きましょう」といって姫自らが出向き、「付近の清掃」及び「病院の設立」をその場で宣言。本人は「保身のため、ギロチンを回避するため」というつもりで行動はしていても、これが賞賛を浴びないはずがない。

また、前の人生において、皆自分から離れていったのに、最後まで自分の元にいてくれたメイドを、今回の人生では早めに見つけ出し、側近にとりたてる。もちろんメイドさんには全く身に覚えがない。

ミーア姫は前回の「ギロチンにかけられる人生」から、多くの学びを得たようにも思える（本人にはそういう意識はないが）。

また、前回の人生の終盤、2年もの間、不衛生な地下牢でろくに食べ物も与えられない生活を経験したため、今回の人生では大抵のことでは動じなくもなった。

作者はできるだけ「コメディー」にしたい感じが読み取れるが、「ミーア姫は、悪事を働けば悪事が自分に返ってくるということを身をもって知ったのだ」というような文章が合間にあると、私はあまりコメディー・タッチには読めない。すごく真面目に感心してしまうのだ。

俗に「因果応報」というと「悪いことをすれば悪いことが返ってくる」という意味で捉えられることが多いようだが、本来の意味は「やったことが返ってくる」である。「善因善果」ともいうし「悪因悪果」ともいうが、「善でも悪でもないことをすれば、善でも悪でもないものが返ってくる」となる。

そして、今回の人生のミーア姫は、幸い（？）よいことしかしていない。きっと前回の失敗を乗り越えて、よい人生を築くのだろうなあ、という感じで、その、読んでいくうちに次第に未来が開けていく感じ、というのが心地よく、（自分がなにかするわけではないが）達成感に近いものを感じる。

kindle unlimitedというサービスは、あまり興味はなかったのだが、お試しでとりあえず30日間無料で始めてみたところ、わりと興味深い本があり、その中にこれもあったため、読んでみた。

面白かったので、ただいま2巻を読んでいるところ。

なお、コミカライズが進行中であり、さらに舞台化もされた模様。

ティアムーン帝国物語～断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー～