メトロノームについて

音楽
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Tarquin CC表示-継承3.0

メトロノーム(metronome)というものがある・・・。

それまで曖昧だった「楽曲の速度」を明確にするという意味で画期的な大発明であり、その後の音楽の世界を変えたといってもいいのではないだろうか。ただし発明当初、作曲家の多くの不評を買ったともいう。

例えば「Moderato(モデラート)」といえば、「中くらいの速さで」という意味だが、いきなり言われても「何と何の中くらい?」と目が点になってしまう。

「Prest(プレスト)」といえば「非常に速く」という意味だが、そのさらにレベルが上の「Prestissimo(プレスティッシモ)」(Prestよりやや速く)まであることを考えるとこれもまた想像しにくい。

現代のメタルシーンなどを聴いた人がそれを見ると「これくらいか!」とテンポ250くらいを想像しても特におかしくない。

テンポをメトロノーム的に表示する場合、「四分音符=80」などのように表記するのが一般的だ(「四分音符」のところは実際に音符の四分音符を描く)。

ただし「テンポ記号」には別の書き方もあって、「M.M.=~」というものもある。

これは「メルツェルのメトロノーム(Mälzel’s Metronome)」という意味で、メトロノームの発明者、「ヨハン・メトネク・メルツェル」の名を冠した表記になっている・・・というように覚えてきたので、

当然のように、

じゃあメトロノームの発明者はメルツェルさんなんだな

と思っていたのだが、実は

違った!

メトロノームの発明者は

オランダのディートリッヒニコラウスウィンケル

という人であった。

ウィンケルが1812年に発明したのだが、ドイツのメルツェルが改良し、1816年に「メトロン(拍、韻律)」と「ノモス(規準)」の二つのギリシア語からの造語「メトロノーム」の名で特許をとったそうである(コトバンクより)。

で、ウィンケルとメルツェルの関係性について調べてみたところ、以前どこかの記事で見たような気がしていたが、現在は見つからなかった。

どうも専門書には記述があるようなのだが、かろうじてこういう記事を見つけたので、興味がある方は参照されたし。

辻乃森音楽師 ~シューベルト断想&創作~『テンポ雑感』

↑このサイトによると、「ウィンケルはメルツェルを訴えなかった」ということがかろうじてわかった。

また、この手の話題においては、通常「メルツェルとベートーヴェン」の関係性に言及するのがパターンのようである。メトロノーム記号を最初に用いたのがベートーヴェンである、ということに加え、両者に交流があったということもそれに拍車をかける。

また、ウィンケルとメルツェルはどうも「発明家同士」であり、メルツェルもウィンケルとは別に「クロノメーター」という機械をすでに発明していたようであり、そういう流れから考えると、

一方的にメルツェルがウィンケルの発明を奪い取った

とも言えないように思われる・・。

となると、これは「発明家同士の競り合い」のようなもので、結果的に負けたウィンケルは恨みなど持たなかったのでは・・と思わなくもない。

だがしかし、

「M.M.=」という記号を見たら「メルツェルではなくウィンケルを思い出そう」という気分にはなった。


参考資料:Wikipedia、コトバンク

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