ポテトチップスあれこれ

食べ物
CC表示 継承3.0 photo made by User:Rainer_Zenz  Wikipediaより引用

みんな大好きポテトチップス。

しかしその歴史などについて知っている人はあまりいないのではないだろうか。

私自身、これに発祥の由来があると思っていなかったが、元々は料理である。

Wikipediaにはこうある。


アメリカ合衆国ニューヨーク州サラトガ・スプリングズのレストラン Moon Lake Lodge のシェフ、ジョージ・クラムによって1853年8月24日に発明された、という説が有力である。

ある日、クラムの客(一説によれば、アメリカ屈指の大富豪コーネリアス・ヴァンダービルトだという)が、フライドポテトが厚すぎると苦情を言って、何度も作り直しをさせた。うんざりしたクラムは、フォークで刺せないような薄切りにしてカリカリに揚げ、客を困らせてやろうと考えた。しかし、クラムの企ては失敗し、この客は逆に大変に喜んだ。

この料理はすぐにサラトガ・チップス (Saratoga Chips) という名でレストランのメニューに登場し、その後すぐにこの料理はニューイングランド地方でごく一般的なものになった。このように元々ポテトチップスは料理の付け合せなど食事の一部として提供されるものであった。そのときの方法はケトルフライ(釜揚げ)法という 。


(もちろん「サラトガ」は地名の「サラトガ・スプリングス」に由来する)

(「コーネリアス・ヴァンダービルト」とは、1794年5月27日生まれ、1877年1月4日没のアメリカの海運業と鉄道業で財を成した実業家、慈善家)(Wikipediaより)

料理の世界においては、科学の世界よりも頻繁に「失敗が成功を生む」といったことがあるように思える。それは「~~をしたら失敗」という明確な定義がないゆえだとも思う。「これはこれでありだろう」というところから新しい料理の世界が広がるというのは大いにある。

さて、そういった由来でできた「ポテトチップス」は元々レストランの料理であったわけだから、今でいうところのメイクイーンや男爵のような「食べて美味しい」芋を使うのかと思いきや、それが全然違う。

ポテトチップスの材料になるのは、

ワセシロ
トヨシロ
農林一号
きたひめ
スノーデン・・・・

といった、日常的にはほとんど目にしない品種ばかりである(農林一号はポピュラーだが)。

この「ワセシロ」に注目して、どのような品種か調べてみると、

「ワセシロは、粘質と粉質のちょうど中間くらいの食感です。 煮込み料理に使うとやや煮崩れしやすいですが、マッシュポテトのように潰すとややねっとりとした状態となって重さが出てきます。 ポテトチップやフライドポテトの原料になることが多いです」(ジャガイモ栽培.comより)

と、ある。

一番見ることのない「スノーデン」を調べると、こうある。

「用途:加工食品用 (ポテトチップ)
長所: 9℃長期貯蔵後のポテトチップ加工適性が優れ、収穫翌年の6月まで利用可能。
いもの内部障害が少ない。
塊茎腐敗抵抗性が強い 」(じゃがいも品種詳説より)

ちゃんと理由があって「ポテトチップス」になっているようである。ポピュラーな「農林一号」はどうかといえば、これだけが別格というか「オールラウンダー」である。つまり通常の料理用にも使われるが、加工食品用にも使われる、とのことである。栽培適地が広いという利点もある(ジャガイモ栽培.comより)。

Wikipediaに戻って、「料理であったはずのポテトチップスがいかにして軽食になったか」を調べてみると、


1900年代になるとアメリカでは多くのポテトチップス製造業者が誕生し、食料品店などで樽や瓶に入ったポテトチップスが量り売りされるようになっていた。この販売方法ではポテトチップスがすぐに湿気てしまう問題があったが、1920年代にワックスペーパーで密封した小袋入りの鮮度を保ったポテトチップスが販売されるようになった 。


これが現在につながるポテトチップスの原型である。

さて、日本ではこのポテトチップスがどのような進化をたどったかを調べてみると、

1962年 湖池屋「ポテトチップス のり塩」発売
1975年 カルビー「ポテトチップス うすしお味」発売
1976年 ヤマザキナビスコ「チップスター」を発売
1977年 ハウス食品工業(現・ハウス食品)「ハウスポテトチップス」を発売
1979年 ヱスビー食品(現・エスビー食品)「スナックチップ」を発売
湖池屋ホームページカルビーホームページエスビー食品ホームページ、Wikipediaより)

業界最大手はカルビーだが、パイオニアは湖池屋であり、10年以上独占市場であったことがうかがえる。
カルビーの参入により、複数社競合の様相を呈してきた模様だ。


おまけ。

下記はポテトチップスの元祖である「サラトガ・チップス」の画像(Wikipediaより引用)。

ソースがかかっていて美味しそうである。

Photo by Shawn Lea cc-by-2.0

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