ぽん酢の謎

食べ物
画像はWikipediaより。CC2.0
ayustety from Tokyo, Japan

これは、もともと「美味しんぼ」に書いてあったことなんですが、面白かったので、自分流に書いてみようと思います。

「ぽん酢」といえば、柑橘類の汁を入れた醤油、というような意味になっていますが、この「ぽん」は何を意味するのか? ということです。

それには、ふか~いふか~い理由があったのでした・・・。

なんと語源はヒンドゥー教です。

ヒンドゥー教においては、「5」という数を重んじます。それは世界は5つの要素で成り立っている、という思想があるからで、

地、水、火、風、空

の5つです(五大という)。

この「五大」のことを、サンスクリット語でpanca-dhatavah(パンチャ・タダヴァハ)といいます。

この「五大」から転じて、五種類の材料(蒸留酒(アラック)、砂糖、レモン汁、水、紅茶または香辛料)を使った一種のカクテルをオランダ語でパンチ(ポンチ)と言うようになりました。

イギリス東インド会社(大航海時代にイギリスがインド統治用に設立した会社)の船員がインドから製法をイギリスに持ち帰り、そこから「パンチ」がヨーロッパの国々に広まったとされています。

その「パンチ」は、江戸時代の日本にもオランダ商船などを通じてもたらされ、オランダ語の「pons」を借りて「ポンス」というようになりました。

その後明治時代になると、英語の「punch」からの音訳で「ポンチ」「ポンチ酢」などといいました。

そういった歴史上の変遷をへて、「ポンス」から転用して「酸味の果汁」を指す意味として「ポン酢」の語源となったといわれています。

この言葉がどう変化したかを見ると、

「ポンス」(1799年)、「ポンチ」(1887年)、「パンチ」(1969年)、となるそうです(「日本国語大辞典」に載った年)。

その一方で「フルーツポンチ」という単語も未だに生きていまして、日本コカ・コーラ社が「ファンタ(フルーツパンチ味)」を1984年に発売しています。

現在では「フルーツポンチ」といえば酒を含まないものも一般的です。

もともとの材料は、蒸留酒(アラック)、砂糖、レモン汁、水、紅茶または香辛料、でしたが、

現在のフルーツポンチは、酒、果汁、水、スパイス、シロップ、炭酸水、となっています(前述のように酒を含まないものもあります)。

また、カルビーポテトチップスの「コンソメパンチ」の「パンチ」はこの「パンチ」とは全く関係がなく、

「コンソメパンチ」が初めて世に出た1978年当時の流行語が「パンチ」だったから、だそうです。「パンチが効いている」「元気がよい」「勢いがある」などの意味(そのまま)だそうで、現在とは大分ネーミング・センスが違うな、という感じがします。


参考資料:

「美味しんぼ」花咲アキラ・雁屋哲、Wikipedia

コメント

タイトルとURLをコピーしました