辛味について その1

食べ物
画像はWikipediaより。CC表示3.0 Author:Perplexing

ちょっと面白いテーマなので、何回かに分けて書こうと思う。

俗に「辛味」とはいうが、実際には「辛味」は味覚ではないそうだ。

味覚といえば、次の5種類で、

  • 甘味
  • 酸味
  • 塩味
  • 苦味
  • うま味

この中に「辛味」はない。

なお、5番目の「うま味」もかつては「ないもの」とされていた。
19世紀以前は「うま味」の存在が科学的に立証されていなかったそうである。うま味物質は、日本の旧東京帝国大学にて、池田菊苗によって1908年にだし昆布から発見された。
その後これを商品化したものが「味の素」となっていく。なお商品化を実際に行った人物は鈴木三郎助である。この時発見された物質はグルタミン酸ナトリウムであるが、その後池田博士の弟子の小玉新太郎がイノシン酸ナトリウムを発見(鰹節、肉類のうま味)、そしてヤマサ醤油の研究員であった國中明によってグアニル酸ナトリウムを発見(干し椎茸のうま味)・・と続く。

話を戻すと、「辛味」は「味覚」でなければなんなのかといえば、脳の中では「痛覚」として処理されるという。

以前何かで読んだ説明ではこうなっていた。

1)舌に辛いものが触れる。
2)「痛覚」を脳が感知し、その「痛み」を和らげるために、ドーパミンなどの脳内麻薬様物質が分泌される。
3)これらが瞬時に起こるため、脳としては「辛いものを食べると快楽を感じる」という図式ができてしまい、結果、「辛いものを食べるとうまい」というふうに脳内で置換されてしまう。

という。最初に読んだときは、「本当かな?」と思ったものだが、どうやら本当らしい。というのは、何年立っても説明が変わらないからである。

子供のときは、味覚が鋭敏であるため辛いものを全く受け付けないということもあるのだが、年を減るにつれてそういった感覚に慣れていくらしく、次第にうまくなっていくようだ。

「辛さ」の単位として一般に知られているものは「スコヴィル値」というものだが、この「スコヴィル値」とは何なのかといえば、

1912年に「スコヴィル味覚テスト」を考案した化学者、ウィルパー・スコヴィルの名前からきているもので、この「スコヴィル味覚テスト」とは、

「唐辛子のエキスの溶解物を数人(通常は5人)の被験者が辛味を感じなくなるまで砂糖水に溶かし、その倍率をスコヴィル値とする」

というものであったそうだ。しかしこれだと被験者の主観で大きく数字が異なってしまう。

現在では「スコヴィル値」に変わる「ジレット法」などが開発され、主観によらない客観値での算出が可能になっているのだが、「スコヴィル値」の名称のほうがより一般に浸透しているため、一度算出したカプサイシン(唐辛子に含まれる辛味成分)量結果をスコヴィル値に置換して表記するのが一般的になっているとのこと。

~~~続く~~~~


参考資料:Wikipedia、チューさんの今昔ばなし

コメント

タイトルとURLをコピーしました