「その1」において、「辛味は味ではなく痛覚だ」と書いた。
しかしそれではまた次の疑問が生ずる。
同じ「辛い」でも、唐辛子、胡椒、生姜、山椒、山葵(わさび)の辛さは全部同じなのか? ということだ。
それについては、
- わさびの辛味・・・鼻にツーンとくる強い辛味だがあとが残らない。
- 唐辛子の辛味・・・・・辛さとともに熱さを感じるピリピリとする辛味で、長時間続く。
- 生姜や山椒の辛味・・・・・舌がしびれるような辛味。刺激はやや弱く辛さはしばらく残る。
の3種類に分けられるらしい。
- わさびの辛味=シニグリン。シニグリン自体には辛味がないものの、すりおろされる過程で細胞にある酵素と反応し、アリルイソチオシアネートという物質ができる。これがわさびの辛味の正体である。
- 唐辛子の辛味=カプサイシン。カプサイシンはアルカロイドのうちカプサイシノイドと呼ばれる化合物の一つ。
- 生姜、山椒の辛味=生姜はショウガオール、ジンゲロール、山椒はサンショオール。物質としては違うが、性質は似ている。
胡椒の辛味はピペリンといい、これは「唐辛子の辛味」と同じ分類になる(カプサイシン系の辛味)。
とまあ、同じ「辛い(痛い)」でも、「性質が違う」といえばいいだろうか。
和辛子、洋辛子(マスタード)の場合は、辛味成分がアリルイソチオシアネートなので、わさびと同じ系統に属する。大根も同系統である。
まとめるとこういう感じだろうか。
- わさび系の辛味=わさび・和辛子・マスタード・大根
- 唐辛子系の辛味=唐辛子・胡椒
- 生姜系=生姜、山椒
性質も違うし風味も違うし、そういう意味では「味」も違うわけだが、「辛さ」に関して言えば、全て「痛覚」として処理される。
唐辛子はコロンブスがアメリカ大陸に到達しスペインに持ち帰ったことから、そこから全世界に伝播するわけだが、
コロンブスはもともと「インド航路」を発見するために生涯を費やしたため、妙に頑固なところがあり、「ここはインドだ」と信じて疑わなかった。
そのため、唐辛子を発見したときも、「これが噂に聞く胡椒か」と思い、「レッド・ペッパー」と命名してしまった。
胡椒が「ペッパー」であり、実は「赤胡椒」というものも存在する。そちらは「ピンク・ペッパー」と呼ばれるが「レッド・ペッパー」とも呼ばれ、名称の混乱を招いている。
ということで「レッド・ペッパー」といった場合、「唐辛子」のこともあるが「赤胡椒」のこともあり、どちらも正しい。
コロンブスのこの経緯によって、トウガラシ属の実は現在でも「ペッパー」と呼ばれるとのことである。
~~~続く~~~~
参考資料:Wikipedia、チューさんの今昔ばなし
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