海藻食から考える味覚の変化

食べ物
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さて、日本は世界有数の「海藻食」の文化を持っています。

わかめ、昆布、ひじき、アラメ、アオサ、海苔・・・いろいろありますね。

そして、北欧は別として、いわゆるヨーロッパ圏では海藻を食べる文化がないようです。

そのことを私は軽く考えておりました。

つまり「食べられるけど食べないのだろう」と。

しかし、そうではなかったのです。

驚きの発表がありました。

ヨーロッパ人には「海藻を分解する腸内細菌がいない」のだそうです。

日本人は、遺伝的にかなり昔から「腸内細菌で海藻を分解できる」という情報が入っていたそうです。

となると、話が変わってきます。つまり彼らは「食べられるけど食べない」のではなく、

「食べても栄養にならないので食べない」となります。

このように、腸内細菌の状態というのは、趣味・嗜好のレベルで強い影響が出てくると私は思います。

昔の「美味しんぼ」において、「フランス人は牡蠣には白ワインが合う、というが、実際にやってみたらとても生臭い。あれは間違いではないか」という話が載っていました。

そのとき山岡さんは「もしかしたら我々日本人とは異なる味覚を持っているのかもしれないな」というのですが、

フランス料理店のシェフは「いいえ、彼らも同じ人間です。味覚は同じはずです」というわけです。

いまさらながらこれに疑問を呈したい。

味覚は腸内細菌の細菌分布によって違うのではないだろうか?

これは「もやしもん」に載っていたケースですが、

以前ヨーロッパで、広い土壌の中に、たったひとつの菌が発見され、それは他のどこにもなかったので、

「新種発見か!?」と騒ぎになったらしいのですが、それは日本に大量にいる「D.ハンゼニ」という菌であることがわかりました。

タクアンを漬けるときに活躍する菌で、これがあの黄色い色を出します。辛いほど黄色くなります。

この事実を考えると、そのヨーロッパの地方にはD.ハンゼニ菌はほぼいない状態だということになります。

となると、腸内にもいるわけがありません。

腸内細菌が分解できないものについては、自然に避けるようになるのでしょうか? ヨーロッパ人が海藻を食べないのは、無意識レベルで避けているのでしょうか?

となると、そういったケースは他にもたくさんあるのではないでしょうか?

つまり、「味覚は腸内細菌の分布によって違う」と言い切っていいのではないでしょうか。

話を最初に戻しますと、だから日本人が牡蠣と白ワインを合わせると生臭いのかもしれないのですが、フランス人にとっては至上の美味なのかもしれない、ということが現実にあるのではないでしょうか?

また、ついでにいうと、

イタリアやフランスはチーズで有名ですが、あれにもその土地の菌が活躍しているわけでして、

つまり、イタリアやフランスのようなチーズを日本でも作りたい、というのはほぼ不可能でした。

チーズ作りに適した風土というのは、年間を通して風通しがよく、気温が低く、湿度が高いところです。

具体的にいえば火山にできた風穴みたいなところです。

ただ、日本は高温多湿のため、なかなかこの条件にあうところがなかったわけです。

近年は北海道で本格的なチーズ作りが行われているようです。

ここで総括をします。

「人間の味覚はおよそ文化圏、地域などで実際に異なるのではないか」


参考資料:

「美味しんぼ」花咲アキラ・雁屋哲

「もやしもん」石川雅之

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