にんにくについて

食べ物

にんにくという名称はどこから来たかといえば、「忍辱にんじょく」という字で、これは仏教用語である。

「忍辱」は「困難を耐え忍ぶ」という意味だが、なぜこれがにんにくをさすことになったのであろうか。

諸説あるようだが、見た限り一番信憑性が高かったのがこれであった。


忍辱とは、「あらゆる困難に耐える、はずかしめをしのぶ」ことを指し、精力のつくにんにくは、人間の心を乱し、魂を失わせるという理由で“不浄のもの”とされていました。しかし、厳しい修行に耐えるためのスタミナ源としてこっそり食べていた僧も多かったなど、こぼれ話も残っています。

にんにく大辞典」より引用


「人間の心を乱す」とされたにんにくを、「厳しい修行に耐えるため」といって僧侶が食べていたというのは本末転倒も甚だしいが、だからこそついた名前なのかもしれない。

ところで、「忍辱」は「にんじょく」ではあるが「にんにく」とも読める。
ただ、通例「にんにく」という字には「大蒜」という字が当てられている。
この「大蒜」は音読みで「たいさん」、訓読みで「おおびる」と読む。

音読みの「たいさん」のほうは、生薬名として漢方薬などの薬の原料名として「タイサン」とカタカナで表記されることが多い。

では「おおびる」はといえば、文字通り「おおきなひる(蒜)」であり、この「ひる」とはなにかといえば、「ネギ、にんにく、ノビルなどの古名」ということだそうである。

ということは「ノビル」は「野蒜のびる」と書くのが漢字としては正しいことになる。

エジプトのピラミッド建設の際には、「たまねぎ、にんにく、大根」を奴隷に与えた、という記述がピラミッドの碑文中にある(「ココロも体も元気になる! 元気の種」より引用)。

にんにくの有効成分はアリインというアミノ酸だが、にんにくにはそのアリインを分解する酵素であるアリナーゼも含まれている。

「だったらとっくに最初から分解されるのではないか」と思いきや、アリインは細胞内にあるのに対し、アリナーゼは「維管束」(水などの栄養分を運ぶパイプのようなもの)に存在するため、分離した状態にある。

包丁で切ったときに初めてアリインとアリナーゼが反応を起こし、強烈な匂いを発する。
「健康食品のインシップ 健康コラム」より引用)

このアリインがアリナーゼによってアリシンという成分に変化することで、「強い殺菌作用、ビタミンB1と結合して滋養を高める」などの作用を持つ。

しかし、「強い殺菌作用」によって胃腸が弱い人はかえってダメージを受けることがあるため、それを防ぐには加熱するとよい。加熱するとアリナーゼが壊れるので、殺菌作用が働かない。

アリナーゼがあれば瞬時にアリシンに変化するが、アリナーゼがなくても時間はかかるがアリシンにはなるので、胃腸が弱い人は加熱して食べるのがよいとされる。

また、アリシンを加熱することでスコルジニンという成分が生まれるのだが、これは新陳代謝を盛んにする作用がある。スコルジニンは生でにんにくを食べるときには発生しないため、加熱したほうがよい面もある。

なお、ここまで「アリ~~」という名称が続くとすでにおわかりかと思うが、栄養ドリンクの「アリナミン」はにんにくの有効成分を再現するためのドリンクである。


それまで日本では、戦後の復興期で慢性的に栄養が不足していた。エネルギー産生に重要な役割を果たすビタミンB1は、体に吸収されにくい欠点があったが、京都大学の藤原元典教授が、ニンニクから誘導体を発見。ニンニクの学名「アリウム・サティブム」とビタミンB1の化学名「チアミン」を掛け合わせ、「アリチアミン」と名付けた。これがアリナミンの名前の由来だ。

「アリナミン」日本の疲れに60年、応えてきた 由来は「アリチアミン」 より引用


また、「強い殺菌作用」があることを経験的に知っていたためか、古代人は病気予防ににんにくを使っており、古代ローマ時代には、にんにくは咳止めや寄生虫駆除の治療薬として使われていたということである。

「にんにくが魔除けに使われる理由」より引用)


参考資料:Wikipedia、「美味しんぼ」雁屋哲・花咲アキラ著

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