「六畳間」も随分長く続いており、話が進展する巻と、日常編の短編をまとめた巻が交互に出ることが多くなったため、最初この巻も「日常編」かと思った。が、違った。
混乱を避けるために、アマゾンのあらすじを引用する。
二学期が始まり、留学生第二陣を迎える歓迎式典を成功させるため奔走する孝太郎たち。
中でもナルファは在校生代表スピーチという大役に緊張しまくり、そのポンコツぶりはゆりか並に!?
そして迎えた式典当日。何とか大役を務めきり安堵するナルファの姿を見て、愕然とする男がひとり……
「馬鹿な……何故彼女がこんな場所にいるのだ……!?」
フォルトーゼに向かったはずの“灰色の騎士”との再戦で、その目的と女神の力の謎に迫る!
時系列的には「二学期の始まり」で、ナルファが留学生第二陣を迎えるためにスピーチで悪戦苦闘するところから始まる。そして前巻で出てきた「3人目の早苗」(通称:お姉ちゃん)もまだここに滞在している。「お姉ちゃん」は並行世界からやってきたわけだが、同じくお姉ちゃんがいた世界から「灰色の騎士」もやってきていた。
この「灰色の騎士」が何者かというのは、多分28〜29巻あたりになんとなく書いてあると思うのだが、記憶が定かでない。「何もかもうまくいかなかった世界の孝太郎(?)」かな?
・・・などと思い、29巻の終わりあたりを読み返してみると、「創生の女神」がタイムスリップを何度も起こさせ、「理想的な結末」になるまで待った、とある。その数「56億7000万回」である。
そして、創生の女神は時間にも空間にも縛られない立場でタイムスリップを行うゆえに、「世界を作った反作用」(つまり「混沌の渦」と作中で表現されているもの)を生み出してしまうのだった。
ちなみにこの「56億7000万」という数字には別の意味があって、仏教の世界では「弥勒菩薩が現れて人類を救うのが、釈迦の死後56億7000万年後」ということになっているので、ここからきた数字であろう。
で、56億7000万回の試行錯誤を経て、ようやく里見孝太郎とナルファ・ラウレーンは再会するわけだが、当然その他の「56億6999万9999回分の失敗した並行世界」をも生み出してしまったということになる。その中には、「混沌の渦」の能力を取り込んで「闇落ち」した孝太郎がいてもおかしくはない・・・と思う。いわば世界のエラー。
ともあれ、素性の詮索はそのくらいにしておいて、その「灰色の騎士」はシグナルティンが虹色の輝きをしていないことに疑問を持ち、調査にあたった。そのうちナルファに出会った。
ナルファはこれまでの全ての記憶を封印し、一高校生として生きているが、灰色の騎士にとってのナルファは、そうでなかったのだろう。だから驚いたのだ。
ということで、ナルファのスピーチ以降は、灰色の騎士 vs 六畳間の面々、という図式になる。
六畳間の面々もナルファ同様に記憶を封印しているため、ナルファの正体については知らない。
ただ、全員の記憶を消すにあたり、唯一キリハにだけは「有事が起きた際の備え」を残しておいたため、キリハのみ、日々悶々としているのである。
私は、このキリハの封印は話の流れ的に出てきたものであって、重要な局面を迎えるとは思っていなかったのだが、実はキリハが全員の封印された記憶を解放するということも今後あるのかもしれない。
・・・と、真面目な内容を書いたところで、次はラブ面の話を。
私自身は、孝太郎は「11人の少女たち」全員と生きていくつもりなのだと思っていたが、どうもここがはっきりしない。
今巻においても「一人を選ぶ。選べない」といった葛藤が見られたり、周囲の少女たちからは「この状況でなぜ一人を選ぼうとするのか」と言われていたりした。
「ハーレム主人公」をよしとしない雰囲気が微妙にあるのだが、この流れで誰か一人を選ぶなどとなったら、バッド・エンドが多すぎる!
できれば「無自覚難聴鈍感ハーレム主人公」のままでいてほしいと思う(孝太郎君にはイメージが合わないと思うが・・・・)
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