ようやく読み終えたので感想を。
とりあえずアマゾンからあらすじを引用してみる。
「なにをやっておりますの! シオンは!」
皇女伝現れた衝撃的な未来の予告に、元わがまま姫のミーアは思わずツッコミを入れた。『サンクランド王国第一王子が、盗賊団と戦い命を落とす』運命の悪戯か、蛇の陰謀か。正義感の強い彼のこと、きっと戦闘の前線へ赴く……。仕方ない。精鋭たちと一緒に「シオン救出作戦」を始めよう!(…..王国へのグルメ旅行にもなりますし)だが、親友エメラルダの縁談相手が、弟の“第二王子”だと発覚したことで未来は更なる危機へと流転し始めるのだった。「その命、わたくしが守り抜いてみせますわ!」我らがポンコツ姫一行が、敢然と悪夢に立ち向かう! 大人気歴史改変ファンタジー第8巻! 書き下ろし小説&巻末おまけ「ミーア日記 ~ティアムーングルメ紀行~」&描き下ろし四コマ&コミカライズ試し読み収録!
まず序盤は、前巻のペルージャン農業国編の続きである。シャロークという金儲けにとりつかれた商人と一悶着あった、その後からである。今巻は分量配分がうまくいかなかったようで、
前巻の続きから始まり、そして次の部へ入り、上述の「サンクランド編」の途中で終わる。残念ながら、ミーアたちの活躍は9巻序盤あたりになるのではないかと思われる。
ペルージャンの後日談としては、ミーアが、本来ラーニャ姫が1人で踊るはずだった儀式において「マレビトの舞」を待ってくれないか、と打診される。とはいえミーアはダンスは大の得意なので、舞がうまくないラーニャと一緒に練習を始めるや、ラーニャもうまくなってしまう。儀式当日、躍動的に舞うミーア。本来は「マレビトの舞」は「よそ者がやってきたときに申し訳程度に踊るもの」、という固定観念があったが、ミーアは本家と同等レベルでそれを踊った。そしてそれに呼応するラーニャも「去年より姫様の踊りがうまくなった!?」と評価を上げてしまう。それは、これまで虐げられてきた農業国ペルージャンとティアムーン皇室とのあらたな関係性を浮き彫りにさせるようなものであり、民衆には「まだ見ぬ未来」への希望が少しずつ根付いてゆく。
そしてサンクランド編である。しばらく「ミーア皇女伝」を読んでいなかったミーアは、久しぶりに読んでみることにしたのだが、そこに書かれた記述に絶句。↑上述のように「シオン王子が盗賊団と戦い命を落とす(しかも残り日数あんまりなし)」というものだった。
ミーアは「なんとかして助けにゆけないものか」と考えるが、皇女が1人で乗り込んでいくのはあまりにも不自然。ところがグリーンムーン公爵家のエメラルダに降ってわいたような縁談があり、その相手が「サンクランド第二王子(シオンの弟)」なのだという。それを知ったミーアは、「ではエメラルダへの付添という体にしておこう」ということで、「シオン救出部隊(?)」を組んだ。メンバーは、ミーア、ミーアベル、アンヌ、ルードヴィッヒ、ディオン・アライア、シュトリナ、エメラルダ、ティオーナ、リオラといった面々。
なお、シオンの弟の名前ははっきりと出てくるのだが、なぜか「あらすじ」では触れられていないため、ここでは書かなかった。
・・ところで、ティアムーンもついに8巻ということで、さすがにどのキャラがどういう立ち位置なのかというのを覚えていることが難しくなってきた、と思っていたら、ネット上に人物相関関係が説明されているものがあったので、これは助かる。
なお、Wikipediaの説明よりもピクシブ百科事典の説明のほうが詳しいので、リンクを貼っておく。
なかなか姿を見せない「混沌の蛇」、そして「謎の狼使い」がこの事件の犯人なのだろうか? 今はまだ事件の全貌が見えていない。
さて、ついに8巻となって、今までにも主要人物が「ミーアが死んだ世界」の夢を見る、ということがあったが、この巻ではティオーナであった。なにしろティオーナは、以前の世界線においては、革命を率いた人物であり、ミーアの仇敵である。その彼女は、いまや従者のリオラと共にミーアを手助けしてくれている。
この感じで、1巻につき1人くらいの割合で、「前の世界線」を思い出していくのだろうか、とも思い、「ならばそちらが現実に成り代わってしまうのでは・・?」とも思ったが、すでに大分歴史は変更されているので、それはない。魂の記憶に残る残滓のようなものではないだろうか(と思いたい)。
ミーアも名声が随分高くなってしまったので、ミーアは「全く」深く考えて発言したわけではないことに対しても、周囲の人たちが「それはこういう意味なのだろうか・・?」と悩んでしまうのがコミカル・タッチに描かれるのは従来通りなのだが、今回は、それぞれがいい感じにミーアの言葉から奥を読み取って(?)、いい感じに捜索活動も進んでいって、この事件がどのようにしておこるか、何を止めれば事件を阻止できるか、という謎に近づこうとしているところ・・までがこの巻のラストである。事件の決着は9巻で。
また、並行するストーリーとして、「ミーアがセロ・ルドルフォンとアーシャ・タフリーフ・ペルージャンに頼んだ寒さに強い小麦」の話も出てくる(番外編である)。これは、飢饉を乗り越え、世界が再び安定を取り戻したところから見た視点であるから、これをそのまま書いては完全にネタバレになってしまうため、ここでは触れないが、「小麦の名前の付け方が日本に似ているな」ということは思った。「ミーア二号」とかそんな名前なのだ。「農林一号」のような感じである。
「寒さに強いが味はイマイチ」という評価であったこの「ミーア小麦」が、セロらの開発者の手によって、また宮廷料理人ムスタ・ワッグスマン(かつてミーアに野菜のケーキを作ったことで人生が変わった人)によって、「美味しい小麦を!」という結果に結実していくのである・・という話。
なお、もう終わってしまったが(私が読むのが遅れたから)、二回目の舞台化がなされた。
おめでとうございます!
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