飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか?2 (角川スニーカー文庫)

ラノベ

2巻が出た。

1巻がきれいな終わり方をしていたので「1巻完結か?」とも思ったのだが出た。

前作において主人公・結城祐介君は飛び降りようとしている初白小鳥さんを助けた。

それ以来、アパートの隣に小鳥さんが引っ越してきて、お隣様である・・。実質的には結城君の家で二人で過ごすことが多いため、ほぼ同棲である。

その二人の住むアパートのさらに隣に、ある少女が引っ越してきた。

ぶっきらぼうで無表情だが、お人形のような佇まいを見せるその少女の名前はユイ。

小鳥さんが最初にユイに気づき、なんとか話しかけようとするが、小鳥さんは長年による父親からの虐待による影響で、自分から話しかけるということが得意ではない。

しかし、黙って見ていることもできなかった。部屋の前でスマホゲームをやりながら黙って佇んでいるユイをなんとか結城君の家にあげて、対話を試みる・・・。

ここからは、小鳥さんは話しかけるのがうまくなく、また主人公の結城君も、生まれが生まれなので人間関係には疎い面もある(彼は特待生SAであり、成績優秀で、自分の学費をバイトで稼いでいるという生徒の見本のような少年だが、幼少期からずっと父親から「野球選手にさせる」という夢によりしごかれ続け、その父は中学2年のときに亡くなった。父が亡くなったことで彼は医者を目指すようになった。そこで猛勉強して特待生SAになるまでになり、今は学費を自分で稼いで学校に通う人間になった。立派な経歴ではあるが、中学2年まで野球バカの父親にずっと野球漬けの生活を強いられていたという経緯により、足りない経験がもろもろある)。

小鳥さんは小鳥さんで、プロ野球チームの選手であった父親に長年に渡ってDVを受けていたという過去がある。その二人が、孤独そうに見えたユイに手を差し伸べようというのだから、難しい。試行錯誤してなんとか心の隙間を埋めていく。

最初は全く取り付くしまもなかったユイも次第に話すようになってきた。まるで、結城と小鳥の娘であるような、そう思ってもおかしくない関係性にまでなった。

ただしかし、ユイはとても頭が回る子で、彼女の「一見人を遠ざけるような言動、行動」には一貫した意味があったのだ。

また、ユイと接していくことで、結城君と小鳥さんは自分自身へとも向き合う機会を得たともいえる。

ユイは彼らと出会ったことでどう変化していくのか。

この巻は「ユイ」という新たな隣人を通して、主人公とヒロインが自らの関係性に思いを馳せる内容となっている。

さて1巻は、もともとYouTubeチャンネル「漫画エンジェルネコオカ」の動画を小説にしたもの、であったが、原作の方はラノベ版1巻の内容がまだ終わっていない状態であり、それなのにラノベ版2巻が先に出た、ということのようである(?)。

(この場合YouTubeの方のストーリーがラノベ版に準拠するのかどうかはわからないが・・)

「人生を諦めた美女」シリーズ再生リスト

↑YouTube版のリンクはこちら。

で、ようやく感想なのだけれど、主人公・結城君が、以前も書いたがナイス・ガイすぎる。一言でいえば「人格者」だ。同じ年のときの自分を思い出してみると、全く及ばない。足元にひれ伏すばかりである。そして同じくヒロインの小鳥さんも、「限りなく優しい」人である。それはさながら聖母マリアのごとく(は、いいすぎかもしれないが・・・)。

その彼らの「優しさ」こそがこの作品の最大の魅力だろうと思う。実はこれを読もうと思ったとき、例によって「買っておいてまだ読んでない本」というのが4~5冊あったのだが、1ページ目を読んで、「ん~、ちょっとこの気分じゃないなあ・・」といろいろ読んで、ようやく読み進んだのがこれだった。このときの私は多分「優しい話」を読みたかったのだろうと思う。

なお、2巻の最後は「引き」で終わっているため、3巻も出る予定。

YouTubeから飛び出して別の世界を構築しだした(?)こちらの話がどこに進んでいくのか、興味がある。

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