佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I’ll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

ラノベ

随分以前から、「あなたへのお勧め」として表示されていたため、根負けして(?)読んでみることにした。

正直、「イラストがよかったから」、という「ジャケ買い」のようなところもあったのだが、面白かったのでそのまま読み進め、現在は3巻を読んでいる。

不動産屋の手違いによって、同じ部屋を二重契約してしまい、鉢合わせた主人公・弓月恭嗣ゆみづきゆきつぐ佐伯貴理華さえききりか

弓月君は思うところあって、昨年(高校1年生のとき)、実家から2時間かけて電車通学していたが、今年から(高校2年)一人暮らしをしようとしていた矢先だった。

佐伯さんは帰国子女であり、アメリカから戻ってきて、高校に入学するというタイミングだった。

もちろん不動産屋に言って対処してもらうという方法もあったのだろうが、二人は「フラットシェア(ルームシェア)をしよう」ということで同意する(言い出したのは佐伯さんのほう)。

さてここで、「なぜフラットシェアしようと思ったか?」というのが伏線じみている。

なし崩し的に同居を始める二人であったが、それは「なし崩し」ではなかった。

二人共同じ高校であったし、弓月君にはある秘密もあった。

それらの真相に迫るのはもっとあとのことになる。

弓月君の言葉遣いには最初から違和感があったのだが、「誰に対しても丁寧語」なのだ。もちろん同居人である佐伯さんに対してもである。

その理由については未だ(3巻終了時点で)明かされてはいないのだが、弓月君のセリフとしては「感情を覆い隠すため、悟られないようにするため」ではあるようだ。

「何を?」というのがまだわかっていない。

また、サブ・ヒロイン(?)的な位置づけで、「宝龍美ほうりゅうみゆき」という女性が出てくるのだが、

この方は大変な才女・・であるにも関わらず、期末試験をすっぽかして留年。本来は3年生なのだが、そのため弓月君と同じ2年生である。

「なぜ期末試験をすっぽかしたか」については、一度本人の口から述べられるものの、後から「嘘よ」と言われてしまったため、わからずじまいである。

ビジュアルはここにあるんだよ(・∀・)

弓月君の描写は丁寧語しかない、という感じな上に、時折入る地の文でもプラトンについて書いていたり、ウィトゲンシュタインについて書かれていたりで、「成績はよさそう」と思っていたら、「常時眠そう」であり「成績はそれほどよくない」だそうである。

この辺、なかなかイメージがしにくかったのだが、イラストを見て「ああ、こんな感じなのか」と思った。確かに

眠そうで理知的

な感じがする。

(矛盾している要素をビジュアルに落とし込むにはイラストレーターさんの苦労があったのではないだろうか、と思わなくもない)

佐伯さんは最初から弓月君に対する好感度がMAX状態で、「えっ?」となってしまったが、よくよく考えてみたら「最初からこの人とは反りが合わない、と思っていたらそもそも自分から同居を提示はしない」はずであり、その辺を想像してみたところ、次第にしっくりきてしまった。

佐伯さんは常時何も考えていないふうでありながら、一年生の中では成績トップである。そんな人が考えなしにそういう提案をするだろうか。

「あらすじ」を読む限りでは「ドタバタラブコメ」かと思いきや、そういうわけでもない。

終始まったりした雰囲気で、謎の主人公・弓月君と同居の佐伯さんのやり取りを楽しむ作品、という感じだろうか。

この作品にはかなりの数の「謎」があり、なかなか自分の本心を語ろうとしない弓月君がそれを明かすのはいつになるのだろうか、と思う。

序盤は、

攻める佐伯、逃げる弓月

という構図なのだが、次第にそういうわけでもなくなってくる。

と、ここまで書いてアマゾン・レビューを読んでみたところ、

「謎が多い」

「最初から好感度が高いのは不思議」

といった文章がある。その辺は他の方も抱いた感想であったようだ。

しかし、

面白い

のである。現在5巻まで刊行中。

また、弓月君の淡々とした思考は妙に私になじむものがあり、好ましい。

なお、サブタイトルの「I’ll have Sherbet!」とはなんぞや? と思っていたのだが、2巻のあとがきにて判明した。

もともとはこれが正題だったようである。

しかし、書籍化するにあたって「これではわからない」ということで、「サブタイトルをつけることにした」とある。

つまり、実際にはこうなる。

I’ll have Sherbet! ~佐伯さんと、ひとつ屋根の下~1

作者のイメージ通りに書くと、こうらしい。

「I’ll have Sherbet!」の意味については、2巻ラスト辺りで語られる。

第1回カクヨムWeb小説コンテスト特別賞を受賞

とのことである。

カクヨムのこの本が読めるのはここなんだよ(・∀・)

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