また新シリーズに手を出してしまったのだった・・・。
某アマゾンのレビューがあまりにひどかったので、買ってみる気になった(?)。
あらすじをまず引用。
その日、高校生の俺――稲森春幸は無職になった。
親を喪ってから生活費のため労働に勤しんできたが、休憩中出会った少女を暴漢から救った騒ぎで歳がバレてしまったのだ。
路頭に迷う俺の前に立つ麗しき美少女。彼女の正体は……ってあの東条グループの令嬢・東条冬季――!?
「私のヒモになっていただけないでしょうか!」
…………なんだって?
「あなたのような人をドロドロに甘やかしたいのです! 私がいないと生きられないくらい! これは私の性癖です!」
えぇ……。
食事に睡眠、お風呂まで!? 生きるため――そう自分に言い聞かせた俺は《お試し期間》として一ヶ月間の契約同棲をすることに。
平凡な日々も彼女となら輝いて見えるかもしれない。そんな淡い希望も抱きながら……。
主人公の稲森君は苦学生である。高校入学を前に両親を亡くしてしまったのだ。そのため、
「高校に通い、朝晩はバイトして生活費と学費を捻出する」という無理ゲー的なことを行っていた。
彼が無理をしているのは誰が見ても明らかで、「お金が勿体ない」と食事すら抜いていては、いつか倒れてしまうのは当然。
そんなとき彼はある女性を暴漢から救うのだが、その際に高校生であることが現場にバレ、その場で解雇される(年を偽って働いていたため)。
そこで暴漢から救ったその女性─冬季さんから「私のヒモになっていただけないでしょうか!」と言われるわけである。誰であっても「なんのこっちゃ?」である。
実は冬季さんはなんとなくその場にいたわけではなく、かなり以前から一方的に稲森君を好きになってしまい、身辺調査を念入りに進めて、準備万端整えて現れた、という。
もちろん東條グループの財力にものを言わせて、である。
彼女自身すでに事業家であり、資産も持っているという、簡単にいえば「世界が違う」人であった。
そんな人から一方的に「ヒモになってくれ」と言われて「喜んで」というのもおかしいわけで、当然「何か裏があるのでは・・?」と懐疑的になってしまう稲森君。そして冬季さんが「それではお試しで一ヶ月どうでしょう?」と条件をつけ、「とりあえず一ヶ月間同棲」をはじめた・・・。
という話。
私は面白かった。
主人公がとにかく「いい人」なのだ。こうなった経緯を、親友である雅也君に話すと、雅也君はこう言った。
「いいんじゃねぇの?・・・これくらいの幸せはあっていいんじゃねぇのってことだよ。じゃねぇと・・お前の人生、割に合わねぇって」
どのくらい主人公が「いい人」なわりに報われなかったか、というのを雅也君はそばで見てきたから・・・のセリフである。
これが主人公が「クズ男」であったら、「アマゾンのレビューが正しかったー!」となってしまうのだが、そうでなかったので・・まあ私は主人公を応援したくなったのだ。
地の文が全て主人公視点になっているため、読み進めていくうちにじわじわと主人公の「性格のよさ」がわかってくる感じで、これは、どこか一箇所を抜き出して「これがいい」と言えないのがもどかしい。
どこか一箇所抜き出すとすれば
「人一倍優しくて気が利く」(雅也君・談)
であろう(取材か・・・・)。
端的に「タイトルに惹かれた」というのもある。
「全肯定タイプの話かな?」と思ったのである。そして実際にそうだった。
このサーバーにはないが、以前のサーバーでこの本を取り上げたことがあった。
作者の「佐藤真登」さんは、ただいま話題になっている「処刑少女の生きる道」の作者である。
なお、この作品は現在アニメ放映中である。
・・・・元の話題から大分それたが、今日も生きててえらい! ~甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活~ (電撃文庫)
は、面白かった!
※なお余談であるが、「処刑少女の生きる道」の3巻は買ってあるのだが、冒頭のあたりで読むのが止まっている。というのは、ちょうどそのときにコロナウィルスが蔓延しだして、殺伐としたものを一時的に読みたくなくなってしまったのである。そろそろ再開しようかと思う。
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