2巻が出たので読んだ。
ちょっと驚いたのは、作中の世界観である。
これまでにもコロナ禍において出版された作品というものは多数あったが、「あとがき」においてそれに触れてはいても、作中でそれに触れることはなかった。
この作品では「コロナ」という単語が出てきたりはしないものの、「テレワークが当たり前になっている」という前提で話が進むのである。
主人公・北条史樹は、もともと「社畜体質」であることもあり、まだまだ「テレワーク」に慣れず、ついつい勤務時間が長くなりがち、だそうである。これもよく聞く話である。自分で時間をマネージメントするとなると、ついついいつもより長くやってしまうというのは覚えがある。
と、まあそれはいいとして。
今回は、ヒロイン・穂春が「軍師」を努めていたアイドル・グループ「&SIX(アンドシックス)」に暗雲が立ち込める。
「&SIX」リーダーの相馬汐音は1巻のときから穂春に「早く帰ってきて」と言ってはいたが、穂春はもう帰る気がない。
今巻では、史樹が前巻ラストで立ち上げた、「北条史樹の会社が開発したゲームと&SIXとのコラボ」が好評だったので、このまま継続しようじゃないかという話から始まるが、その結果、史樹が「&SIX」の事務所に「出向」となる。
なるのだが、そこには、「穂春」という軍師を失いどうしていいかわからなくなった「&SIX」の面々と、その「&SIX」を食い物にせんとする大人の思惑があった・・・。という話。
年端もいかない少女たちに「契約書」を書かせ、その抜け道をつくように違法(スレスレ)なことをやらせようとする、「&SIX」事務所の「代表代行」倉賀野。
簡単にいうと「倉賀野 vs 史樹(プラス穂春)」という感じか。
今巻は最初から汐音がグイグイとくる。どうやら史樹に惚れてしまったらしい。私はすっかり忘れていたが(すいませんm(_ _)m)、史樹の後輩・鴇田さんも史樹を狙っているらしい。
そして今回も懐かしい「あの言葉」が!
胸がドキドキしてきた・・。不整脈かな? それとも自律神経失調?
(なお、これは穂春のセリフ)
終わり方から見て、どうも完結巻らしい。
相変わらずパルプピロシさんのイラストがよかった。
今回も、穂春の心理学の知識が冴える。前巻で出てきた「ハロー効果」をはじめとして、普段聞くことがない単語が数多く出てくる。
(注:ハロー効果(ハローこうか、英語: halo effect)とは社会心理学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。光背効果、ハローエラーともいう。例えば、ある分野の専門家が専門外のことについても権威があると感じてしまうことや、外見のいい人が信頼できると感じてしまうことが挙げられる。(Wikipediaより))
ところで、このサイト・・に、「僕の軍師は なろう」という検索ワードで来ている方が割といるようである。
ところが「なろう」については全く触れられていないので、さすがにそれは申し訳ない、ということで、「なろう」のリンクも書いてみる。
・・・と、思ったのだが、「カクヨム」にも「(小説家に)なろう」にもどちらにもこの小説はなかった。そちら出身ではなかったようだ。
しまった。リンクがかけない・・・(リンクないんだけど)。
調べてみたところ、作者の「七条剛」さんは
第4回GA文庫大賞《優秀賞》受賞
「うちの居候が世界を掌握している! 」シリーズでデビュー。
されている、とのことで、ウェブ連載からのまとめではなく書き下ろしのようだ。
主人公をとりまくヒロインズは、
- 穂春(メイン)
- 汐音(&SIXリーダー)
- 鴇田(会社の後輩)
- (由希?)(史樹の妹)
と4人(?)いるのだが、そのへんは曖昧なまま終わるようだ。とはいえ、「心理学で問題を解決する」という目新しい視点はなかなか面白かった。
大人顔負けの知識を持っている穂春も嫌味にならないように描かれていて好感が持てた。
また、主人公・史樹の「優しさ」も好感が持てた。
よい作品でした!
七条先生、お疲れ様でしたm(_ _)m
(もし続刊したもちろん買う。そして↑この部分を削除しておく)
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