以前「積ん読記録」を書いた中にこの本は入っていなかったのだが、それもそのはず。
この本が出ているのを知ったのが最近だからで、「ひげをそる」の最終巻の時にも書いた気がするが、「三島の話をもう少し読みたかった気がする」と思っていたら、
出ていたのだ、これが! これはもう読まねばなるまい!
ということで読んでしまった。
沙優が北海道に戻ってから以後の話になる。
終始ぼんやりしている吉田を見かねて、三島や後藤さんが誘おうとするが、そういう気になれない吉田。
そんな吉田をある日、映画に連れ出すことに成功した三島。
三島の恋愛観、人生観、及び吉田の恋愛観、人生観がたっぷり語られる今巻は、なんというか、少し難しい・・・というか、なぜ三島がここで激昂するのか、と言われると「なるほど」と言えない感じというか、人情の機微に聡い人なら腑に落ちるのかもしれないが、自分は少々
???
という感じであった。
(三島、すまん・・・)
比較的わかりやすかったのは、三島が吉田に向けて言ったセリフで、
なんであなたは私の物語の主人公になってしまうんですか!
というものだろうか。
また、この話においては、二人で「レゾンデートルの海」という映画を見に行くのだが、この「レゾンデートルの海」を主軸として話が進行していく。これは実在しない映画で、この作中の中の作品である。
この話が、あらすじを読む限りではなかなか面白かった。三島はそれに感情移入してぼろぼろと涙を流すのだが、吉田はどこか他人事のように映画を見てしまい、そのため三島の涙にぎょっとしてしまう。こういうところからすでに二人の人生観のズレが垣間見えるわけだが・・・。
後日談なので、後藤さんや、吉田の先輩にあたる神田さんらの話も出てくる。
「なんか最終巻があっさりして物足りない」と思った読者にはよいと思う。
なお、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」は現在kindle unlimitedにて、全巻無料対象になっているので、一気読みするにはよいだろう。
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