前巻の事件を経てしばらくぎくしゃくしていた彼らも、次第に落ち着きを取り戻していく。
彼ら自身の学園祭は、本来二人で巡るはずだったのが事件の影響で回れなかったため、「学園都市内」の大学の学園祭を見て回ることになった。
学園祭のやり直しである。
と、ここまでは「あらすじ」に書いてある内容なのだが、実はこの巻で、
弓月君の秘密がいろいろ発覚する
のであった・・・。出生の秘密、彼がなぜいつも「丁寧語」なのか? という謎、そして「なぜコーヒーを入れるのが特別うまいのか?」という謎であったり、「中学のとき一時荒れていた」という理由であったり・・。
1巻から「謎が多い」と書いていたが、その大半がここで明らかになった。
なるほど、これは、「丁寧語になりもする」という事情であった。
また、学園祭めぐりをするにあたって、佐伯さんからの申し出があり、
「このときだけでも名前呼びにしよう」
ということになる。
佐伯さんの弓月くんの呼び方は「ユキくん」になり、弓月くんの佐伯さんの呼び名は、「貴理華さん(キリカちゃん)」と無難なものであった。
・・のだが、これは二人にとって
偉大な一歩であった
(か、どうかはわからないが・・・)
この学園祭巡りでは、自校の文化祭もあり、宝龍美みゆきさん、矢神君が所属する文芸部を訪ねたりもするのだが、
そういったエピソードの後半部分で「弓月くんの秘密がいろいろ発覚する」のであった。
なお、彼らの関係性は見ていて気持ちがいい。
自分の心を抑え込むことに慣れている弓月君が次第に佐伯さんに心を開いていく様は、読んでいて微笑ましい。
また、このイラストがよい。
フライさんというイラストレーターなのだが、こういう「ふわっ」とした絵柄は一体どうすれば描けるのか、よくわからない(私は絵が下手だ・・・)。
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