最近、「どこまでがネタバレだろう?」と思うときがある。
極端なことをいえば、あらすじに若干触れただけでも「ネタバレ」とは言えるのではないか。
しかしながら、それを言ってしまってはせっかくよい本を紹介しようというのに、何も書けなくなってしまう。
ということで、一応アマゾンの「あらすじ」を参考にしているわけだが、例によってここでもそれを書いて、どこまで書いてもいいものか考えながら書いてみる。
今を駆ける14歳の、鮮烈なる恋。
夏。
長年のすれ違いを経て、達也は、明日香との関係にひとつの結論を出そうとしていた。
一方、池袋でのスカウトをきっかけに、ひなたと彩夏は映画のエキストラに参加することに。
業界にまるで興味がなさそうだったひなたの変心に、彩夏は訝しむ。
しかし、主演女優・三沢ひかりとひなたの邂逅から、事態は大きな転換を見せはじめ……?
大人らしい選択と、子どもらしからぬ覚悟。
いま、少女は新たな世界に一歩を踏み出す。
――大いなる嵐をともなって。
“育ち盛りすぎる中学生”とおくるエモ×尊みラブコメ、第3幕!
とりあえず、主人公・達也と、学校の同僚であり元カノである明日香との関係が進展・・あるいはものすごく進展・・・する。
その一方で、前巻において芸能プロダクションの山口という男に声をかけられた、椿屋ひなたと豊田彩夏。
この2名は映画のエキストラとして出演することになった。富田はかなりの覚悟をもって。そして椿屋はどうかといえば・・・。
「実はすべて計算づくで動いているのではないか」とさえ思わせる、子供なんだか大人なんだか微妙なひなたは・・。
ひなたはgiftedでtalentedだ。
どちらも「才能がある」と訳される。
だが、ひなたの場合は「gifted」という単語がよく似合う気がする。
「gifted」には、言外に「天から与えられた特別なもの」という語感を感じるからである。
それに対して「talented」は、「能力、腕前がある」という意味でしかない。「与えられた」というニュアンスがない。
ひなたは、「選ばれし者」なのだろう。
一体何を言っているのかと思われるかもしれないが、ネタバレをしないで書こうと思うとそういう表現になってしまうのである。
業界にまるで興味がなさそうだったひなたの変心に、彩夏は訝しむ。
しかし、主演女優・三沢ひかりとひなたの邂逅から、事態は大きな転換を見せはじめ……?
↑ここが今巻の大きな話の部分。
今巻においては、達也とひなたの絡みは冒頭少しあるのみで、もっぱら「達也サイドストーリー」「ひなたサイドストーリー」になっている。
さらにラストにて爆弾発言をして次巻に続く。
著者の鈴木大輔氏は「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」の著者なので、軽いノリをイメージしていたのだが、なんだかこの作品はえらく文学的だ。
写実的というべきなのか。まるで一瞬一瞬の輝きを逃すまいと描写しているかのように。
「叙情的」「叙景的」「叙事的」・・どれも違うなあと思っていたところ「写実的」ではあるのかな、と思った。
二度と得ることができない時期の二度と得ることができないその1コマを、この作品で描こうとしているような・・・。
と、なんとなくそんなことを考えてしまうのである。
タイトルが「エモい」からなのかもしれないが、感想文も少々「エモく」なってしまうのだろうか。
↓ちなみにこれが、「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」 (MF文庫J)である。
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