「私と一緒に住むってどうかな?」1見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる (HJ文庫)

ラノベ

というのを読んでみた。

この話には、根底に流れるストーリーがいくつもあって、シンプルなラブコメ・・・ではあるものの、そうとも言い切れないものを感じて少々書きにくい・・ので、例によってアマゾンから「あらすじ」を引用してみることにする。


手先が器用な男子高校生・高村劉生と、料理だけ上手な不器用美少女・伏見扇奈は親友同士。家に帰りたくない事情のある二人は、古民家をリフォームし、放課後の居場所にしようと動き出す。
すると、「二人きりなら思う存分イチャイチャしまくれる!」と気付いた扇奈が劉生に猛アピールを開始!! 一緒に食卓を囲んだり膝枕したりと、友達から同棲カップルのような雰囲気に……!? 
いつも一緒なのにじれったい、傍目バカップルな二人が繰り広げるイチャイチャDIYラブコメディ!!


・・・・。

読んでる最中から、

これってDIYの話かな?

とは思っていたが、まあ間違いではないわけか。

ヒロインの伏見扇奈せんなは、

とある理由

で、同性・異性問わず興味がない。彼女が「親友」であるのはただ一人、主人公・高村劉生りゅうせいだけである。

劉生は幼い頃(といっても今でもまだ高校生だが)、扇奈の祖父に、「人生を変えるようなこと」を言われた影響で、扇奈の祖父に恩義を感じているが、

その扇奈の祖父の住まいが、売却されようとしている。

そして劉生と扇奈は二人で「この家を人が住める家にしよう!」と思うわけである。

また、扇奈が「料理だけ上手な不器用美少女」なのもちゃんと理由がある。

もともと全て不器用だったのだが、料理だけは血のにじむような(?)苦労をして、地道に少しずつうまくなっていったのだ。

また、この二人には共通する要素がある。それは、

親を嫌いであること

である。「あらすじ」には出てこないし、一巻ではあまり活躍もないのだが、もう一人のサブヒロインが出てくる。寺島かなでというのだが、この子も「両親が嫌い」である。

そして寺島は「裁縫」に打ち込んでいる。「ミシンを買ったら親にばれるから」という理由で「手縫い」である。

寺島は劉生を「理想の人体像」と惚れ込んでしまい、モデルを頼み込む。

ただ、メイン・ストーリーは劉生と扇奈の「古い民家の建て直し」である。

草むしりをして、簡易的な風呂を作ったり、かまどを作って料理したり・・・。

劉生は父親の影響で手先が器用である。扇奈は料理がうまい。寺島は裁縫が得意。

いちいち、「これはどうやるんだろう?」と詰まるたびにスマホ動画で調べる、というあたりが現代の話だ。昔だとそこで話が進まなくなる。

確かに、ありとあらゆるジャンルの動画が溢れているので、学びたいという意欲を持つ人には最適な世の中だともいえる。

扇奈の祖父の家を建て直したからといって、ガスや水道をひくとなると子供二人だけではいかんともしがたく、

また、扇奈の父はこの家を売却する気まんまんである(扇奈の父と祖父はこれまた仲が悪かったらしい)。

彼らの「抵抗(?)」はどこに着地点を見るのか──。

なんというか、ただの「ラブコメ」でもなく、複合的な様々な主題が織り交ぜられてあって、面白いと思った。

1巻では寺島の存在要素がよくわからなかったので、2巻以降で出番があるのだと思う。ということで続刊してほしい。

といっても、タイトルにちゃんと「1」と書いてあるから「2」は出ると思うのだが・・・。

私が「珍しい」と感じたのは、登場人物のほぼ全員が「親が嫌い」であるということだった。

ヒロインだけ、主人公だけ、というのはあったが、「全員」というケースはなかなかないのではないか。

また、「売却が決まった古民家を建て直す」というのも、「親への反逆物語」ともとれる。

ただ・・・・、なんとなくそういう「レッテル貼り」をするとこの作品の魅力が少し落ちてしまう気がする。

劉生も扇奈も、「建て直したい」という意欲、およびその労力は本物であり「反逆のための反逆」ではないと思うからである。

むしろ劉生が感じる「扇奈の祖父への恩義」のほうを、私はより強く感じてしまう。

とりあえずは、

面白かった

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