4巻が出たので読んだ。
4巻のメイン・ストーリーは、学祭に出品する予定の「自主制作映画」の撮影。
女優を志している伏見姫奈としては俄然はりきりことになり、周囲との空気のズレも生んでしまう・・・のだが、
それはそれとして。
私が1巻のころから感じていた、
一種のサイコホラー
の謎がついに解明された。「あらすじ」にも書かれているので、ここで書いても良いはず!
つまり、主人公・高森諒君は小学生時代の思い出はなぜかきれいに忘れてしまっているのだが、
ヒロインズたちは覚えている。
そして、3巻で登場した、姫嶋藍さん。実は小学生のとき、諒君はこの「ヒメジ」さんと両思いであったらしい。
それはヒメジさんが自分で言ったことなのでわかったのだが、ただ、そのこと自体に対しては、ヒメジ(藍)もひーな(姫奈)も存外あまり執着がなかったようで、「サイコホラー」にならなかった。
違う話にならなくてよかった・・・。
「あらすじ」にはこのように書いてある(一部抜粋)。
「諒くんは藍ちゃんが好きだったのに、わたしは横槍を入れて……」
このことに対してヒメジさんが「おのれっなんということを!」となって襲ってきた・・となったら別の話になるのだが、そうはならず、
「姫奈はそういうとこあるんですよ」で済ませていた。
(ちゃっかり「記憶の上書き」というセンテンスがあったので、やっぱりサイコホラー要素を若干感じるが・・・)
それと、個人的には「両思いであったなんていうことを(特に男性側が)忘れてるなんてことがあるんだろうか?」と不思議に思ったものだが・・。
と、まあそれはそうとして、諒君は2巻あたりから「自分は何がしたいんだろう?」と悶々とする日々であったが、
今巻において「映画監督」という「やりがい」を見つけたようである。
姫奈さんは「女優」であり、そしてまた、何の因果か、ヒメジさんも「女優」に向けて舵を切る。
前巻において「大根役者っぷり」をさんざん露呈したヒメジさんであったが、さすがに「元アイドル」というべきか、それくらいでは全然へこたれないらしい。
なお、ヒメジさんの口調は変わっている。この子は誰に対しても「敬語」で話してくる。
幼馴染の諒君に対してもである。一体なぜなのだろうという疑問がないでもなかったが、そういう性格なのだろう。
で、「敬語で話すから」といってすごく謙虚なのかといえばそんなことはなく、むしろ堂々とふてぶてしい。
で、私の推しの鳥越さんはどうかというなら、今巻では「シナリオライター」として活躍する。うむ、ベスト・ポジションなり。
鳥越さんは、うっかり姫奈さんらに対抗して嫉妬心から何かをしゃべってしまったあと、必ず「自己嫌悪」のモノローグが入る。
そこがいい(?)
諒君に限らず、この話ではみな「何者か」になろうとして懸命である。
10代はそういうものかもしれないが、しかし「何者にもなろうとしない話」というのもあっていいような気がする。
特別な何かや誰か、になる必要はそもそもないのではないか
・・・などと高校生が言い始めたら、さすがに違う話になってしまいそうなので、それは仕方ないかも・・・。
前巻から出てきた出口君がいい味を出していた。
まるで、
「涼宮ハルヒ」シリーズの「谷口」である。
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