今回の話は、説明するとちょっと意味不明になってしまうので、Amazonのあらすじから先に引用しておく。
お互いの気持ちを確かめ合い、晴れて恋人同士となった小雪と直哉だが、恋人としての関係を意識して小雪は逆に固くなってしまう。
そんな折、小雪の許嫁として、イギリスからの留学生アーサーがやってくる。しかし彼は一緒にやってきた義妹のクレアと相思相愛だと見抜いた直哉。小雪との両想いぶりを見せつけることで許嫁として諦めさせ、クレアとの恋を成就させるべく立ち回ることに。
なかなか素直になれない二人をたきつけ見守りながら、自分たちの関係を省みる小雪と直哉は――
天邪鬼な美少女と、人の心が読める少年の、すれ違いゼロの甘々ラブコメディ、第4弾。
「察しのよさ」が異常なほど冴え渡る直哉君。今回もその「察しのよさ」を発揮して、「許嫁(仮)」であるアーサーをなんとか排除したい。
というのが今回の話なのだが、そもそもなぜ「許嫁」なのだろうか。そんな話これまであったか? と思ったのだが、これは、
小雪の祖父の唐突な「思いつき」であった。しかも、小雪の父のハワードさんが、直哉君の父の「ホースケ(法介)」の事件にいろいろ巻き込まれている、ということを祖父に言ったら、何がどうしたかわからないが「だったらわしの知り合いを許嫁にしてしまおう」となったわけである。
それが巡り巡って直哉と小雪の前に難問としてたちはだかった。当然、親や祖父らに角が立たないように解決しなければならない。ということで、
「だったら俺たちのイチャイチャぶりを見せつけて断念させてやろう」と直哉君が言う。小雪さんはそんなのに耐えられるのか・・・!?
今巻を読んでわかったが、直哉君は小雪さんのしぐさや表情から、本心がなにか、最初から見抜いてしまう。だから通常の恋人たちのような会話が
できない
のだそうだ。「察しのよさ」を発揮して、その上で「失言」や「思い違い」などが起きないような配慮をしているからである。
そんな彼らが
通常のイチャイチャ恋人ぶり
なんてできるのだろうか? もちろん否である。
ということで「普通のイチャイチャをしにいこう!」と水族館デートにいったりする。
ここで初めて直哉君は「ここからは『察しのよさ』を封じて鈍感になります」という。
そうして小雪さんも、会話の端々から、「ああ、普通はこうなのか」をいう感覚を掴んでゆく。
といったあれやこれやを通じて、イギリスからやってきたアーサー、そしてそれを追ってきたクレアを自分たちから引き剥がし、あわよくば二人をくっつけさせたい。どうやってそういう方向に持っていこう・・? というのが今巻のメイン・ストーリー。
で、ここでバイ・ストーリーを。
直哉君はこれまで、その「察しのよさ」から他人に怖がられることも多々あったため、「できるだけ人と関わらないよう」にしてきた。しかし小雪さんと付き合っているうちに、それが変化してきた。「人と関わるのも悪くない」と思えるようになった。そのため、しばらく中断していた「他人の相談にのる」ということを再開したところ、「とにかく当たる」と評判になってしまい、長蛇の列ができるほどに。とはいえ話術が急に上達したわけではないから、結論だけばっさり言うのだが、「それでもいい!」とファンが増える。小雪さんとの出会いで、直哉君も「成長(?)」しているのである。
また、小雪さんは、恥ずかしくなるとテンパって毒舌になるが、教室中のみんなが「直哉と小雪」のことは知っているので、小雪さんがいきなり毒舌になろうとも、誰も本気にしない。皆「温かい目」で見守るのみである。このへんでも、彼らを取り巻く人間関係の改善が見られる。また、彼らの在り方を俯瞰して見ていると、小雪さんの「毒舌」も全部照れ隠しか愛情の裏返しでしかなく、結構かわいいものである。
もともと普通のカップルではないのだから幸せの形は人それぞれ。
私には小雪さんは十分楽しそうに見える。
なお、この作品、結構人気が出てきたのか、今になってコミカライズされるそうである。
『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく』のコミカライズが決定
また、「ふーみ」さんのイラストを見るのがなぜか久しぶりのような気がしたが、本文中のイラストがよかった。雰囲気が出ていた。
巻末には、直哉の父「法介」と小雪さんの父「ハワードさん」が巻き込まれた事件の話が短編で載っている。まるでシャーロック・ホームズのようで面白かった。ハワードさんの立ち位置はワトスン。
ということで5巻も出そうなので、こちらはある程度安心していればいいか。
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