お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について (角川スニーカー文庫)

ラノベ

私がこれを入手したとき、Kindle Unlimited無料対象であったが、今は無料ではない。

無料だったので、「なんとなく面白そう」とダウンロードだけしてそのまま放っておいていたことに先日気がついて読み始めたのだが、

読み始めたら止まらなくなり、既刊3巻まで全部読んでしまった(そしてまた新シリーズに手を出してしまった)。

例によってアマゾンからあらすじを引用してみる。


お見合い話を持ってくる祖父に「金髪碧眼色白美少女なら考える」と、無理難題な条件をつきつけた高校生・高瀬川由弦。数日後、お見合い会場にいたのは同級生の雪城愛理沙!? 由弦が予想外の事態に戸惑っていると、愛理沙から養父の強引な勧めでお見合いを受けていると聞かされ、お互い婚約を望んでいないことに気づく。共通の話題から少し距離が縮まったと感じた由弦と愛理沙は、面倒なお見合い話を避けるため偽りの『婚約』をすることに。二人は嘘を貫き通すため、由弦の家でご飯食べたり一緒に勉強するなど同じ時間を過ごすのだが、同時に愛理沙の由弦に対する気持ちや態度に変化が表れはじめ……。


まず、大雑把に言うならこのラノベは少々珍しい。主人公を含む登場人物の大半が、いわゆる「名家」の子供たちであり、「家柄」だとか「政略結婚」だとかがまだ残っている家の方々なのだ。

タイトル自体はただの「きっかけ」に過ぎず、この話は「身分が高い人同士の交際」というのがテーマ・・・の一部になっている。

由弦ゆづる君はたしかに「金髪碧眼色白美少女」と言ったが、雪城愛理沙ゆきしろありささんは完全にこの条件に合致しているわけではない。彼女は何世代にもわたる「ミックス」のため、目は「翠眼すいがん」(緑色の目)である。ただ、それ以外の条件は大体あっている。

祖父は表面上は隠居しているが「高瀬川家」の今後を考えて見合い話を持ってきた。決してギャグではないのである。

読み進むにつれ「現代の名家もいろいろ大変なものだなあ」とか感心してしまう。当たり前だがそういう方々との付き合いなどないので、ある意味では別世界の話だ。

さて、ややこしいことに愛理沙さんは確かに雪城家のお嬢様ではあるが、養子である(あらすじに「養父が~」とあるので、ネタバレではない)。

愛理沙さんは家においては家事全般をやらなければならない立場であり、傍目には「使用人」と大差がない。

お見合いにおいて、由弦君がちょっと怪我をしてしまい、「その看病」という名目で(由弦君は松葉杖を使わなくてはならなくなった)愛理沙さんはしばらく由弦君の面倒をみることになった。この間、愛理沙さんは由弦君の家の散らかり具合に呆れてしまい掃除をし、さらに手料理をふるまった。彼女が普段家でしていることだったが、その料理に由弦君が感嘆し、思わず素直な感想が口をついて出てしまい、愛理沙さんはそれに衝撃を受けてしまう。彼女は誰かに感謝されるということがほとんどない人生を歩んできたらしい。この話はもうここでラストが決まってしまったようなものだったのかもしれない。

そこから何らかの進展があるかと思いきや、一度関係は途切れてしまう。

松葉杖をしなくなってから一週間が経ったころ、由弦君は愛理沙さんの料理の味が忘れられず「先日のお礼をしたい」とメールを打つ。すると愛理沙さんは思いがけない事を言ってきた。「由弦の家にあるゲームをしたい」と。

これもまた、雪城家の事情であった。彼女は家では好きなことを自由にする、ということができなかったのだ。

そうして、毎週土曜に愛理沙さんが由弦君の家に遊びにくるようになる。そして料理を作って二人で食べる。そういうスケジュールになってしまった。

この文章だけだとピンとこないが、愛理沙さんは雪城家にいると気詰まりなので、由弦君の家で羽を伸ばしたいのである。また、どうせなら料理を喜んでくれる人に食べてもらいたかった。

・・・・、とこんな感じで二人の関係はスタートするが、何しろ「偽装婚約」なので、対外的には「仲いいですよー」とやっていて、実際に仲もよいのだが、いつバレるかと気が気ではない、そんな雰囲気の中、二人の仲は急速に近づいていく。そんな一巻であった。

後半では二人でプールに遊びにいったりもする。

しかしお互いに「どこまで接近するのが正しい距離感なんだ?」と測りかねている、そんな関係。

「祖父に写真をおくれと言われた」という名目で、イチャラブ自撮り写真なんかを撮ったりもする。

で、この二人の行く末はどうなるのだろう・・・?

という一巻であった。

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