ティアムーン帝国物語4~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~(TOブックス)

ラノベ

4巻の感想。

未来からきた孫娘、ミーアベルは未だに同じ時空間に存在し(そのこと自体が異常だが)、ミーア姫は「何かやっちまったかしら?」と思い、ミーアベルに聞いたところ、彼女が「断頭台の未来」を回避するためにと行動した結果の一つ、「聖ミーア学園」が成立していないことが発覚。

「聖ミーア学園」に、きたるべき未来、小麦の品種改良を行い帝国の未来を救うはずのセロ君(というキーパーソンがいる)を入学させる手はずだったのだが、このままではセロ君が入学する学園自体がない、ということになる。よって小麦は品種改良されない。ただしミーアベルに聞いたところ、飢饉は回避できた模様。ただしこの「新種小麦ができない」という事情がじわじわと影響しそうな勢いがある。というのは、年々と小麦が減収しているからだ。

ということで、「学園がなぜ成立しないのか」を調べるところから始まるのだが、そこには、「グリーンムーン公爵家の邪魔」という事情があった(あらすじに書いてあるのでネタバレではない)。なぜミーア姫の親戚である公爵家(のエメラルダ)がミーア姫の邪魔をするのか? といえば、これが実にくだらない理由で、「私のことを軽んじたから」だそうである。で、エメラルダは学校の講師候補に次から次へと声をかけ、逃げさせてしまった。講師ゼロである。

ということで、ミーア姫は「講師ゼロ」からのスタートとなった「聖ミーア学園」をなんとか成立させなければならない。今巻もミーア姫には難題が待っているのであった。

途中からは「夏の島でバカンス」の話になって、そちらが途中で終わってしまっている。この後なにかありそうな予感。そちらもまた「未来の予言(?)」に関係している模様(多分)。

前巻ではルードヴィッヒが、「ミーア姫が断頭台に登る未来」の夢を見たが、今巻では、↑まさにミーア姫の邪魔をしているエメラルダが、同じ世界の夢を見る。

次の巻で明らかになるだろうが、何やら「未来が変わるかどうか」が関わっている人間が「改変されない未来」の夢を見るのではないか、と私は推察する。「未来が変わらない場合」は、エメラルダは帝国が危機に陥るとあっという間に海外逃亡して、ミーア姫を困らせることになり、まさに断頭台に乗っているミーア姫の足を引っ張ることになるのだが、その未来を夢に見てしまう。実に暗示的だ。

話を元に戻すと、「聖ミーア学園」の校長候補、講師候補みんなゼロから、とりあえず校長をなんとかせねば、ということで、ルードヴィッヒの師匠を校長にしてはどうか、ということになる。この校長が大変な変人で、ミーア姫は困らせられる(あらすじに書いてあるので以下略)。

今巻は「予言」ということについていろいろと考えた。

有史以来予言者という存在がいて、数々の予言を残しており、当たったものも当たらないものもある。

ただ、そっち系のいろいろな話を読んでみると、どうも「遠い未来ほど外れる確率が高くなる」という法則があるようだ。近い未来は当たりやすく、遠い未来は外れやすい。

いくつかの「未来候補」の世界があるなか、どれに収束していくかはいろいろな要因がどの程度進んだからに依存するというか、その結果次第で未来は変動することがある。ただし「大きな変動」は多少の年数がずれても結果的に起きる、という傾向があったり、あるいは「数年単位に分けて現れる」というものもある。例えば「地震」。地震を純粋なエネルギーとして考えた場合、エネルギー100%の状態が一度に起きれば大災害になるが、これが10回に分けて起きるとしたらどうだろう。ほとんど感知できないレベルにまでなるのではないだろうか。

だから、「その未来は当たっていない」とは必ずしも言えず、「別の形で成就している」というケースもある。今回のコロナ・ウィルスについても、2013年に亡くなったシルビア・ブラウンという方が予言している。

それによると、


「2020年ごろ、重い肺炎のような疾病が世界中に拡散し、肺と気管支を攻撃し、既知の治療法全てに対して耐性を持つ」

「疾病そのものよりもさらに不可解なことに、それは到来した時と同じように突如として消え去り、10年後に再び攻撃し、そして完全に消滅する」

CNNニュース「新型肺炎を予言?、新型ウイルスが招く人類滅亡のお告げという疫病」より引用


なお、シルビアさんは自分の死ぬ年齢も予言したが、それは外れたそうである(88歳で死ぬと予言して77歳で死去)。

なお、今回の件で一躍脚光を浴びた形のシルビアさんであるが、奇しくも私はシルビアさんの本を2冊持っていた(予言書ではない)、ので驚いたものである。

話をティアムーンに戻すと、ミーア姫の「飢饉を防ぐ」は確かに成就していたのだが、「新種の小麦を開発する」は成就していなかった。それが今後の帝国の災厄を招くかもしれない、ということでミーア姫が奮闘することになる。

5巻は10/10発売。

それを楽しみにしていよう。

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