2巻、この巻で一応一区切りはつく。
1巻からずっと、雀さんから責められていた弓月君であったが、その「誤解」が解ける。
・・というか、宝龍美ゆきさんがなすがままに黙っていたせいもあって、「弓月君が宝龍さんを振った」ということになっていた、それが「誤解」で、あえてそのままにしていた弓月くんにも考えがあるだろうから、どこまでが「誤解」なのかといえば難しいところなのだけれど・・。
不思議なことには、
攻める佐伯
と以前書いたが、次第に宝龍さんも攻めてくるようになった。文脈を読み解くに、「弓月くんに情動が芽生えたので、宝龍さんがそれに惹かれ始めた」という感じだろうか(?)。
去年二人が付き合っていたときにはお互い動く心がなかったのに、弓月くんが佐伯さんとの同居を始めてから感情がよく動くようになり、それを見ていた宝龍さんが再び弓月くんに興味を持ち出した、というように私には見えるのだが・・・。
また、1巻のあとがきにて作者が「この話は私にとってはファンタジー小説です」というようなことを書いていて、「?」となったのだけれども、2巻では本当にファンタジーっぽくなるところがあった。
弓月くんおよび佐伯さんの内面世界を描く物語。案内人は「黒いアリス」・・・。この「黒いアリス」は常に黒いゴシックロリータの服装で現れる、大人にも少女にも見える女性だが、正体は誰も知らない。
実はもう5巻まで読み進めているのだけれど、それでもよくわからない。
私はてっきり、妹の「ゆーみ」の姿かたちをしている少女かと思っていたのだが、そうでもなさそうだ(「大人にも少女にも見える」と書かれているので)。
この巻では、1巻の謎はまだまだ謎のままで、そのうちいくつかはわかる、という程度。
とりあえずは
攻める佐伯
を楽しむ巻なのだろう、と思いきや、唐突に事件は訪れる。
佐伯さんの父が帰国して、同居がバレる
のであった。
この事件をどう乗り越える(?)のか、というのが2巻最大の山場ということになる。
同居がバレて、3巻からは別々に暮らすのか、それとも現状維持なのか。
佐伯さんの父の対応は? と気になる点は山程あるが、そこがネタになっているため書けないのであった。
なお、弓月君の親友である矢神君は、同じく弓月くんの親友の滝沢君を含めた三人の中で、もっとも言動が大人しく、そのため行動もおとなしいのだろうと思っていたのだが(なにしろ文芸部部長)、実際には空手の有段者という点にはびっくりした。
弓月くんの、
哲学好きで、丁寧語で話し、勉強を始めると集中するのに、成績は低く、いつも眠そう
という人物像も、なかなか把握しにくいものがあったが、矢神君もまた把握しにくい人物像なのかもしれない。
しかしながら、個人的体験になってしまうが、こういうケースは自分が学生のときにもあった。
なぜか国語の成績だけが異常にいいのに、他はそれほどでもない、という同級生がいた。
私は国語の成績だけはあまりよくなかったので、内心羨ましかったものである。
作者曰く、この作品は、
佐伯さんがコスプレをする話 であり、
ファンタジー小説
とのことなので、それを頭に入れて読むといいかもしれない。
なお、この場合の「コスプレ」はアニメキャラのコスプレというのではなく、正しい意味での「コスチューム・プレイ」だそうである。
「コスプレ」の意味を調べると
コスチューム・プレイとは、
- 時代劇や歴史劇の事。英語のCostume play。
- 衣装だけは立派だが内容が伴わない芝居を揶揄する意味。
- 漫画やアニメなどの著名なキャラクターに仮装すること。
(Wikipediaより)
となるため、ここでいう意味は「1」のことで、「コスチューム」=衣装、「プレイ」=劇、という意味合いだろうか。
佐伯さんはやたらと「ガーター」に食いつくので、いくつかは持っているものかと思われる。
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