2巻を読んだところ、あちこち意味がわからないところがあったので1巻に戻り、それを全部読んだ上で・・・、
ようやく話の全体像を理解したので、ようやく感想を書くのだけれども、困った。
ここまでして理解できたものを書くことが、そのままネタバレになるのだった。
ただ、私と同じような状態になった人がいたなら、こう思うかもしれない。
2冊で3冊分楽しめた
と。
1巻は途中からSFになってしまったため、「?」な状態で読み進めていきいろんな部分があやふやなままで、そのまま2巻に入ってきてしまったため、「1巻の話は何の意味があったのか」というつながりが見えず、再び「?」となってしまい、そして1感を読み返して、ようやく「あれはこういうことだったのか」と正しく理解した(はず)。
1巻で登場する正体不明の「槇島悠」を名乗る少女。彼女はSF展開につき途中で姿を消し、彼女自身も、そして高坂京介(主人公)、五更瑠璃(黒猫 ヒロイン)の両名もそれを覚えていなかったが、記憶の残滓から、彼女(黒猫)が作るゲーム・シナリオの登場人物の名は「槇島悠」という名になる。
2巻では、1巻の出来事を全て忘れた上でのスタートとなるが、「犬槇島」での「ゲーム研究会」(以降「ゲー研」)の合宿で得られた成果をもとにして、地元に戻った彼らはゲーム制作に入るが、その傍ら、
本編でもあった、「運命の記述」の登場となる。正式に(?)付き合うこととなった京介と黒猫であるが、黒猫が「やりたいこと」を書いたものが「運命の記述」(という名のノート)である。
本編と違うところは、本編においては黒猫が一人で書いていた「運命の記述」であったが、この「if編」では、二人でやりたいことを共に書いていくところだ。
そして、本編でもあった、「運命の記述」のラスト、それは
「京介と、別れる」
である。
この「if編」では、「黒猫ルート」なわけだから、これをうまく乗り越えなければならない。
そして、この局面において、本編では存在しなかった桐乃のしかけた「あるもの」が威力を発揮することになる。
また、本編を読んだときにははっきりとはわからなかったが、元々黒猫は桐乃の意志を、全く誤解せず正確に理解していたからこそ、↑このようなことを言ったのだと、理解した。
本編ではこのあと黒猫は転校するし、交際もなくなってしまうのでよくわからないままだったのだが、今回の「if編」において、それぞれの「本心」が明かされ、「そういうことだったのか」というのが10年ぶりくらいにわかったという次第である。
(本編のスタートが2003年で、現在は2021年。一番最初のころから数えると18年ぶりということになる)
で、なおさらそれでは、「本編でもif編でも言うことは変わらない」のであれば、どう乗り越えろと・・と思うわけだが、さっきも書いたように桐乃が仕掛けた「あるもの」が効果を発揮し、破局は免れる。
その後いろいろあるが京介と黒猫は結婚し子供が出来て、二人がそもそも出会ったゲー研で合宿をした思い出の島へ旅行に行き・・・といって1巻につながるのであった(その後SF展開になって現在と過去が交錯する)。
叙述トリック、というのではないのだろうが、プロットを最初に作って、その設計図通りに書かないとなかなかこんな作品は書けないと思った。
実は1巻を読み終えた今、確認のために2巻をまた読みたくなってきており、そうするとまた新たな伏線回収ができそうだなあ・・とか思っているのだが、ずっとこればかり読むのもなんなので、そろそろこの辺でおしまいにしておく。
これより先に出た「あやせ編」はゲーム・シナリオ(PSPゲーム「俺の妹P」「俺の妹P続」)そのままだそうだが、こちら「黒猫編」は、ゲーム製作時には別ライターさんが書かれたそうで、そのため本人によるリメイクにあたる。
それで思ったが、「この内容だとゲーム・シナリオにはできないだろうなあ」、と。
この内容はやはり「本」という媒体でないと難しいと思う。
「あれ?」と思ったところでいちいち振り返るような要素をゲームに入れてしまうと、内容にもよるが「よくないシナリオ」扱いになってしまうのではないだろうか。
ということで、2冊・・・(私的には3冊分)かけた京介と黒猫の話は、ようやく私の中で決着した。長い長い話がようやく終わったような、そんな感じがした。
この辺はよくわからないが、「黒猫」は作者的に「桐乃」の次に愛着があるキャラクターではなかったのだろうかと思う。
(実は「あやせ」かもしれず、よくわからない。「if編」の刊行順序も「あやせ」が先だったし・・・)
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