つい先日のこと(6月15日)である。メガマウスが日本の千葉に現れた。
メガマウスについての概略について書いてみる。
1976年11月にアメリカ合衆国海軍の調査船のシーアンカー(錨)に絡まっていたのが最初の発見であり、
「新種のサメ」と発覚したが、それ以来、年に一度くらいしか見つかることがなく「幻のサメ」といわれていたらしい。
日本での発見例は、1989年1月23日に静岡県の天竜川河口から西へ200メートルの砂浜に打ち上げられたものが最初である。
基本的には水深200~300メートルの(浅めの)深海にすんでいるサメであり、そのため発見例が少ない。
また、「メガマウス」は「海洋における20世紀最大の発見」と言われている。
それはなぜか。
メガマウスの肉体は現代のサメとは異なる構造を持っており、古いサメの形質を持っていることが発覚したからである。
メガマウスについてはわからないことも依然として多いのだが、古くは約1千万年前から300万年前のものとみられるメガマウスの歯の化石が発見されたことがある。
同じメガマウスではなく「現代のメガマウスに近い特徴があった」となっているため、進化については未解明の部分が多いことも伺えるが、それでも一つの種がこれほど長い間形態を維持し続けているというのは驚きである。
「シーラカンス」は「生きた化石」と呼ばれているが、シーラカンスの場合は「6500万年前に絶滅したと考えられていた」ものに酷似した魚が現代にもいることがわかり、それで大騒ぎになった。それと同様の騒動だと考えればよいかと思う。
体長は資料によって異なるが、4~5メートル、最大で7メートルという感じである。
シーラカンス同様、「肉はまずい」そうである。以前にも書いたが、ある種が存続するためには「食べるとまずい」のがとりあえず条件である。
また、メガマウスは「プランクトンを濾過摂取」するのだが、この「プランクトンを濾過摂取」するタイプの生物は巨大なものが多い傾向がある。ジンベエザメもそうである。
近年、「ダイオウホオズキイカ」、「ダイオウイカ」や「リュウグウノツカイ」などの深海生物が浮上してくる現象があるが、これにも一応の説明はある。
地球温暖化によって海中の酸素濃度が不足し、従来通りの「深海」にいると「窒息」してしまうため、彼らは窒息を回避するために浅い部分にまで浮上してくるらしい。
なぜ「温暖化」が「海中酸素濃度の不足」につながるかといえば、海水の温暖化によって、酸素を多く含む表層部の海水が深くまで沈まなくなり。そのため深海の酸素濃度が不足する、ということである。
また、海がそれまで思われていたよりも多くの熱を吸収する、というのもその一因になっているようだ。
また、「古い種が形態を維持する」ということについて。
遺伝学的には、「それほど長い間、遺伝子が変異しないことがありえるのか?」ということが論議になったことがあるのだが、
これにも説明がついた(うろ覚えだが)。
確か、「固定した形質の部分の遺伝情報は基本的に変異が少ないが、機能していない部分のジャンクDNAの部分の変異は多い」という説明であった気がする。
要は、「存在しない部位」の情報は変異を起こしやすいといえる。しかしながら、逆にいえば、そちらの「変異情報」が発現しなくてすむのなら、一つの形質を長期間維持することは理論上は可能になるはずだ。
参考資料:
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