マヨイアイオイクラゲはクダクラゲの一種である。
地球上で最も「長い」生き物であり、体長は40メートルほどにもなり、最大になると120メートルになる可能性もあるという。
この生き物が特殊なのは、「群体生物」である点だ。
遺伝的に同じ個体が複数集まって群体をなす。単体では生存不可能で、まとまりあって糸のようになって生息している。
そして、各個体はコロニーの中で、摂食や攻撃、防御、泳ぎなど、特定の役割を担っているというのが特徴である。ここで、通常の個体と群体を比較してみると、下記のような感じになるだろうか(左が個体、右が群体)。
個体 | 群体 |
細胞 | 個体 |
内蔵(器官) | 特定の役割を持つコロニー |
「とはいえ各個体に分けられるのであれば一体の生物とはいえないのでは」と思っていたのだが、「個体単位では生きていけない」となると話は別である。
「一群体は一個体の生物」と考えてもよいのではないだろうか。
また、上記の写真ではよくわからないが、下記の画像を見てもらいたい。
これは全体図なのだが、「先頭に2つの泳鐘(nectophore)が存在し、刺胞をもった無数の栄養個虫群が一本の長い帯となって後方に引かれる」となっている。
泳鐘(読み)えいしょう
腔腸動物のクダクラゲ類の群体を構成する個虫の一型。 クラゲのような構造をしており、傘を収縮して群体を移動させる。
(コトバンクより)
つまり、この左下の頭に見える部分が、文字通り「群体の頭」となって、全体の行動指針をとっていることになる。
「泳鐘」は他の個体と全く違う外見に見える。群体(を構成する個体)の中には「クラゲ型」と「ポリプ型」というものがあり、
クラゲ型=気泡体、泳鐘、保護葉
ポリプ型=基部から触手を発達させる栄養体、口がなく触手のある感触体、触手を欠く生殖個虫
となっている。(Wikipedia「クダクラゲ目」より引用)
と、書いてはみたが、40メートルという大きさもさることながら、元がクラゲということを脇においておくと、さながら巨大な
ウミヘビ
あるいは
龍
のようにも見える。
なんとも興味深い生物である。
なお、「マヨイアイオイクラゲ」と書くとわかりにくいが、漢字で書くと「迷相生海月」である。
「相生」を辞書で調べると、「一緒に生育すること」(goo国語辞書より)とあり、これが「群体」を意味し、さらに「迷」をつけることで「一体では生きられない」という意味としているのではないだろうか・・。
参考資料:Wikipedia「マヨイアイオイクラゲ」「クダクラゲ目」、
コメント