2巻を読み終えた。
1巻のレビューを読み返していたら、主題が何かを書いていなかった。「ネタバレになるから」と書いている。
しかし、2巻のあらすじを見るとある程度オープンになっているようなので、こちらでは書いてよさそうだ。
これは、熱い演劇論の話である。
主人公の瀬戸君と、ヒロインの和泉七瀬さんの二人を軸に進んでいた1巻のストーリーに、さらに2人加わる。
瀬戸くんがかつて所属していた演劇部部長の羊子さん、そして、瀬戸君の姉がマネージャーを務める、若手女優・月浦水守。
瀬戸くんが演劇部をやめた理由と月浦さんはセットである。かつて羊子さんと瀬戸君と月浦さんは同じ演劇部にいた。
そして、瀬戸くん(脚本担当)が月浦の演技に魅せられてしまい、彼女の出番を増やそうとしたため部内に軋轢が生じた。
また、瀬戸君はその後月浦にふられており、それもあって演劇部をやめてしまう。だが部長の羊子さんはそんな瀬戸くんに戻ってきてほしいと、1巻ですでに入部届を渡している。その後和泉七瀬さんのインパクトが強すぎたので、そちらのエピソードをまるっと忘れてしまっていた。
月浦の演技は「異常なほどうまい」らしい。実際に見たわけではないのでわからないが、
「何しにきた!」と身構える瀬戸くんのモノローグでの呼び名が、最初「月浦」であったのに、いつのまにか「水守」と名前呼びに変わっていた時点で戦慄を覚えた。
「色仕掛け」というのもまた違うのだが、自分がどう見られているか、どう魅せられるか・・について月浦さんは熟知しているらしい。
冒頭で書いた「熱い話」というのは、2巻で顕著に出てくる。
「役者に対して嘘はつけない」といった瀬戸くんのセリフからもそれは伺える。
1巻では「本番中に酒を飲ませる」という策で七瀬さんを緊張から解き放ち、撮影を成功させた瀬戸君であったし、「この方法は使えるかも」とも思ったが、諸事情でそれはダメになった。
そして、再び羊子さんとタッグを組み、「七瀬さんの演技の一体どこが問題なのか」をつきとめようとする。
感想がどうもあっちにいったりこっちにいったりでまとまりがない気がするが、
「泥酔彼女」という単語はあくまで「看板」にすぎず、本質は「演ずるということはどういうことか」を追求していくヒューマン・ドラマだ。
月浦は今や日本中で知らない人はいないというほどの女優になったが、瀬戸くんはそうではない。だが、高校生ならではの真摯さを感じることができる。上限のない、広さの制約もない、熱い思い。
瀬戸くんの立ち位置は「脚本家」で、演じる役者ではないが、それでも彼は書き続ける。役者が自分の脚本を演じる、ということの意味と喜びを知っているからなのだろう。
また、瀬戸くんはある意味で月浦を恨んでいるのだが、その理由について、月浦さんは肯定していない。
実際には異なる事情があったのかもしれない・・とは思う。
また、この話もコミカライズ決定である。
『泥酔彼女』のコミカライズが決定 酒飲みヒロインが家に上がり込んでくるラブコメディ
なお、一巻の時点では七瀬さん(ヒロイン)に恋愛要素は皆無であったが、今巻から少し動くかもしれない。
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