飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか?3 (角川スニーカー文庫)

ラノベ

この巻は、2巻の後日談ではない。

1巻の話を、「大谷翔子」視点で描いたものである。

「大谷翔子」、それは、主人公が気安く話せる数少ない友人の一人・・・のはずだった。

今巻で「大谷視点」が語られると、また1巻のストーリーが違う色彩を帯びて見え始める・・・そういう話である。

確か2巻の始めのあたり(?)で、大谷さんが激ヤセしてスタイルがよくなって、さらにメガネをやめてコンタクトにした結果、「誰かと見誤るような美人」になった、ということがあった。

その件についてあまり本編中では触れられていなかったため、「なんだったんだろう?」と思っていたが、その顛末が描かれている。

大谷視点の話が全体の80%くらいを占めていたので、「今巻は大谷視点」と思っていたところ、最後の方で、藤井君(主人公・結城君の友人)がなぜ大谷に毎日告白しているのか、のエピソードがあり、更にその後、次巻へとつながる、2巻の後日談のエピソード(ようやく主人公エピソード)が入って、3巻につながるようになっていた。

「ここで大谷視点をやるということは、このシリーズはもう終わりなのかな」と思ったのだが、全然そんなことはなかった。

作者曰く、「あえて通常のラブコメではやらないような書き方で書いている」とのことで、その理由は「長編映画を見たような読後感を味わってほしいから」で、それを考えるとこうせざるをえなかった、という。

確かに、普通に考えたら1巻で「雨降って地固まる」であった主人公とヒロインが、2巻以降ひたすらイチャイチャするのが、まあ定番といえば定番だと思うが、2巻ではユイという女の子を預かる話で、一冊まるごとユイのエピソードだったので、「あれ?」と思ったものである。

で、今巻の3巻では「大谷視点」ときたので、「もうこの作品も終わりなのだろうか」と思ってしまったわけだが、全然そうじゃなかった、ということである。

この話は、視点が誰であっても、たしかに作者のいうような「長編映画を見たような読後感」はあるので、そういう狙いならば、今後もそういうことを踏まえて読み続けようと思う。

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