七味の謎(薬味の謎)

食べ物
Author:june29 CC表示2.0 Wikipediaより引用

薬味について書いてみよう。

「美味しんぼ」においては、薬味とは「うまみを引き出しふくらませるもの」として話を進めている。

話の発端としては、新そばにネギとわさびを添えたことを海原雄山が怒り、「新ソバの香りがネギとワサビで消されてしまうではないか!」と怒る、というもの。

普通に考えると薬味というのは「臭みを消す」という消極的な意味合いもあるわけだが、ここはもっと一歩踏み進めて、ポジティブに考えようとしたのだろう。

例えば、かつおのたたきにしょうがやにんにくを添えるのは、おおむねかつおは血のにおいが強いから、とされるが、現実には高知県では新鮮そのもののかつおであっても薬味ににんにくを添える。

「将太の寿司」においても、「薬味は、それがなければ本来の味が引き出せないほどのものなんだ」という結論を出している。

例として、「何の臭みもない冷奴にネギや生姜を載せるのはなんのためだ?」ということを言っている。

・・・、とまあ、ここまでは料理の世界の「薬味」の話だ。

これはこれで大いに結構。うまみを引き出してもらいたい。

では、「薬味」という言葉の語源に迫ってみよう。

江戸時代。江戸両国の「薬研堀(やげんぼり)」という長屋があった。

この「薬研(やげん)」というのは何かというと、時代劇で見たことがあるかもしれないが、薬草をすりつぶすための道具だ。

薬研/上にある車輪状の道具が「薬研車(藥碾子)」、下にある舟形の容器が「薬研(硏槽)」。合わせて日本語では「薬研」という。千早赤阪村立郷土資料館所蔵。(Wikipediaより引用)
画像はパブリックドメイン

この「やげんぼり」には当時の医者や薬剤師が多数住んでおり、みなで「日本人の健康に寄与するものを作れないか」と研究していたという。

そうしてできたのが「七味」だ。時代は1625年。関が原の戦が1600年だから、江戸幕府がはじまって間もないころ、ということができるだろう。

当時江戸では「そば」を食べることがはやっていたので、「そばに七味をかけて食べるように」と大いに奨励したらしい。

ということで、語源からいうなら、やっぱり「薬味」は「くすり」だったのだ!!!

「うまみを引き出しふくらませる」とかではなかったのだ。

それでは、七味にどのような健康によい成分があるというのか? 以下を見てもらいたい!

(下記は「こだわりの七味唐辛子」より引用)

「赤唐辛子」
胃痛、消化不良、水腫、歯痛、リュウマチ、
扁桃腺炎、うがい薬。 
ビタミンA・B、カロチノイド、新陳代謝、
中性脂肪低下、発がん予防効果など

「山 椒」
麻痺(局所麻酔)鎮痛鎮痙攣、虫駆除、
カプサイシン、など唐辛子の成分に似ている。

「胡 麻」
血中脂質調整効果、毒性の高い過酸化脂質除去、
不飽和脂肪酸を助け老化防止、ビタミンE、
リノール酸、オレイン酸、カルシュウム、
マグネシュウム、鉄分含有。

「生 姜」
干した生姜は鎮痛、鎮咳、解熱作用が強く、
その効果は生より数倍高い。
食欲増進、解熱、鎮痛と作用があり、
かぜ薬、健胃消化薬、鎮吐薬、鎮痙薬。

「紫 蘇」
シソアルデヒド、リモネン、ピネンなどが
含まれ、殺菌、防腐作用があります。
咳や痰止め、発汗、健胃、整腸、食欲増進の
効果あり、鎮咳去痰薬、かぜ薬など。

「青海苔」
海草類の中でも、カロチンが多く、
ビタミンB1・B2・C、ナイアシンなど
が含まれ、食物繊維も多い。カルシュウム、
マグネジュウム、亜鉛、銅なども含まれ
細胞老化防止効果など。

その後、「薬味」は意味の幅をひろげてしまって、わさびや生姜、ネギなどにも用いられるようになった・・・・ということらしい。


参考資料:「美味しんぼ」雁屋哲・花咲アキラ著、「将太の寿司」寺沢大介著、WIkipedia、「こだわりの七味唐辛子」

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