気象病1 気象病とは何か(その対策)

医学

昨今、天気によって不調を訴える人が増加傾向にある。

これらを「気象病」「天気痛」「お天気病」などと呼んでいる。

昨夜東京でゲリラ豪雨があり、それですっかり体調がおかしくなってしまったため、これを書こうと思いついた。

私自身も朝に弱い、雨に弱い、天気の変化に弱い、夜になればなるほど元気になる・・という天気の影響があったが、

それらを人に話しても全く信じてもらえず、病院で様々な検査を多数おこなかったが、何もわからなかった。

もちろん、当時は「天気によって体調が崩れる」ということ自体が知られていなかったのだから仕方ないが、最近ようやく「そういうことがある」というのが知られてきた。

この本、「天気痛を治せば頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」は佐藤純さんという方が書いたものだが、この佐藤純さんという方は、はじめて「天気によって体調が悪くなる」原因を突き止め、今は日本で唯一の「天気痛外来」を行っている方である。

この本によると、天気痛の起こる原因というのは、内耳にある「センサー細胞」というものが他の人より過敏であるから、だそうである。

この「センサー細胞」が天気の変化をいち早く察知するのだが(人によって異なるが、24時間前に察知する人もいれば半日前に察知する人もいる。私は大体半日)、察知した情報が「台風」であったとしても、目の前が晴れていると、脳の中で情報が齟齬を起こし混乱する。結果として「乗り物酔いに似た症状が起きる」ということであるようだ。

「乗り物酔いに似た症状」については、

めまい、腹痛、頭痛、だるけ、吐き気

があるし、それ以外にも、

うつ症状、むくみ、古傷が痛む、ぜんそくの発作が出る

などがある。

これに対処するにしても、もともとの「体質」であるから、「根治」というのは無理で、対症療法しかない。

ただし、「頭痛がしたから頭痛薬」「傷が傷んだから鎮痛剤」・・というのではなく、もっとダイレクトな対症療法がこの本に書かれている。

以下それを列挙していこう。

  1. 乗り物酔い止めの薬
    「症状が乗り物酔いなのだから酔い止めが効く」というのは、理屈ではわかったが、例えば「頭痛がする」というときになかなかこれは思いつかない。
    自分で試してみた結果、大人用の「酔い止め薬」は効果が強すぎて、ものすごく眠くなることがわかった。今は子供用の「酔い止め薬」を使用している。
    市販の薬だと、

    トラベルミンジュニア
    センパア(子供用)
    アネロンキャップ

    などというものがある。これらがなぜ効くのかといえば、「内耳前庭での自律神経反射を抑制(「自律神経反射」は、自律神経が内臓に対して様々な電気的信号を発することを指す)」するため、先に述べた「センサー細胞」で感知した知覚が三半規管に伝わるのを阻害するからである。そのため、「感知はするが症状は出ない」という結果を導出できる。

  2. 頭痛薬
    上記の乗り物酔いの薬は「一日一回飲むとずっと効く」というものが多いが、「飲み忘れて頭痛が始まった!」というときには、とりあえず頭痛薬もよい。

  3. 五苓散ごれいさん
    これは漢方薬なのだが、「体内の水分代謝をよくし、むくみを改善する」という作用がある。

    ツムラの五苓散」の説明はここを。

    また、「頭痛、めまい、吐き気、急性胃腸炎」、と「気象病」で出てくる大半の症状に効く。また、二日酔いの薬でもあり、暑気あたりの薬でもり、清熱作用(体のほてりを冷ます作用)がある。

  4. 手首にある「内関ないかん」というツボは乗り物酔いに効くため、そこを指圧する。
    なお、「気象病」という単語ができる以前から「乗り物酔い、つわりにはこのツボが効く」というのは知られていたらしく、「乗り物酔い用リストバンド」などが市販されている。

    内関」についてはここを。

  5. 前述の佐藤純さんが監修した「頭痛ーる」というアプリを使う。

    頭痛ーる」についてはここを。

    これはスマートフォン用アプリだが、気圧の変化のグラフが載っており、半日前くらいになると警報がくるようになっている。警報の目安は「気圧の変化が短時間に激しいカーブを描くところ」である。

  6. 同じく佐藤純さんが開発に関わった「天気痛ブレス」を使う。
    これは、前述の「乗り物酔い止め用リストバンド」のようなもの。
    同様の「天気痛耳栓」もある。ただしこれは、「翌朝に気圧が乱れそう」というときにはいいのだが、「いつ使うか」という目安は、使っている当人が把握していくしかない。単純に「頭痛ーるで警報がきたら耳栓をつける」というのがわかりやすい。なお、どちらもクラウドファンディングの商品なので、常時入手可能ではない。

    「天気痛ブレス」「天気痛耳栓」についてはここを。

下記は実際の商品の例である。

↓これは小林製薬から今年(2020年)4月8日に新発売になった「テイラック」。
商品パッケージは大変わかりやすくなっているが、中身は「五苓散」である。

↓これは宇津救命丸から出ている暑気あたり、熱中症の薬だが、中身は五苓散である。

↓下記は、つわり、乗り物酔いのためのリストバンドである。

と、いろいろ書いてはみたが、

対処法がない!

という時代がとにかく長かった「気象病」。以前は「不定愁訴症候群」ともされ、「なまけ病」扱いもされて、面倒だった。

まだこれらの方法を用いても「劇的に効く!」というわけではないが、しかし、これまでと比べると格段に天国である。

さらに一つ要望があるとすれば、「気象病のための乗り物酔い止め薬」を出してほしいと思う。

子供用の酔い止め薬をしょっちゅう買っていると怪しまれるというか・・・。

また、漢方薬としての「五苓散」は、下記の製薬会社からそれぞれ出ている。

  1. ツムラ
  2. コタロー漢方
  3. クラシエ
  4. 一元製薬・・・他

もう一つ注意事項。

「乗り物酔い」のためのリストバンドについては、「子供、あるいは女性がターゲット」という認識であるようで、バンドの長さが短すぎるものが多いようだ。できればバンドの長さを自由に調節できる商品のほうがよい。

気象病はどれくらいの人が持っているのか? についてはこれを。

女性の約8割が天気痛持ちと回答
西日本は予防しない割合が高め

(ウェザーニュースより)

なお、女性は約8割であるが、男性は約5割である。

これには、ここ20年ほどの気候変動の影響もあるような気がする。夏は湿度が増し、冬は寒くなり、四季がなくなり実質二季になり、亜熱帯気候に変化しつつあることが原因のように思う。

この記事を読んだ方が、なんらかの対策の参考になれば幸いである。

もちろんトップに挙げた「天気痛を治せば頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」(佐藤純著)も大変参考になるし、佐藤さんは他にも同様の著書を出しておられるので、そちらを参考にしてもよいと思う。


補足1

ついでながら、「低気圧の日に頭痛がする」というのは、低気圧になったことで、肉体に対する圧力が減少する結果、普段よりも血管が拡張してしまい、それが周辺の神経を圧迫することで頭痛が起こるということを指す。このとき、「水滞すいたい」(水分の流れが滞り、むくみ状態にあること)も起きているのだが、前述の「五苓散」には、「水滞を改善し、余分な水分を体外に排出する」という作用もあるため、結果的に頭痛も楽になる。そのため「五苓散」を飲んでから10~20分もするとトイレが近くなり、その後何度もトイレにいくことになり、行くたびに体は楽になる。しかし、外出中のときなど、使うときと場所を考えたほうがよい場合もある。


補足2

なお、広義の「気象病」ではあるが、「天気の急変によって引き起こされる鼻炎」というものもあり、「血管運動性鼻炎」という。聞き慣れない単語だろうし、用語の意味も素人にはわかりにくいが、簡単にいうと文字通り「天気が乱れると鼻炎になる」という症状である。

みやけ耳鼻咽喉科 アレルギー科の記事 血管運動性鼻炎

面倒なことに、私はこれにもなっているのである。
これは普通にアレルギー性鼻炎の薬がよく効く(「フェキソフェナジン塩酸塩」:市販名「アレグラ」)。ただし「実際にアレルギー持ちかどうか」には関係がない。いわば「寒暖差アレルギー」であって、体内に抗原(アレルゲン)がなくても起きる。

↓アレグラ。「奇跡の妙薬」とも呼ばれ、「眠くなる」などの副作用がほとんどない(全くないわけではない)。

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